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第39話 ミコトの失言

「駄目だよ。ホストに恋人がいる事を口外しては。」 「ごめんなさい。自分がオープンだから、うっかりしちゃった。」 控え室でホストリーダーの零士に注意された。 ミコトには凍夜という彼氏がいる。大恋愛の末、結ばれた。一緒に住んでいて、終わると迎えに来る。ミコトはお客さんにも隠さないから、他の人もそうだと思ってしまった。 「僕も隠さなくても売り上げがあるホストになりたいですよ。気にしないでください。」 太一は優しい。  席にいた元ちゃんにヒカルは問い詰められた。 「俺、ヒカルの事、マジだったのに。 あんなすごい彼氏がいたなんて。背、高いね。すごい筋肉だ。スーツの上からでもわかる。抱きしめられたい。俺も好きになっちゃうよ。  でもは、ホストなんかやってるんだから、俺があの人に告ってもいいわけだ。指名しても。」 「元ちゃん!」 ヒカルは身近にライバルがいる事に油断していた。  席に戻って来た太一は何だか、貫禄がある。 まだ、ホストになって1週間も経っていないとは思えない。  今夜はミコトの彼氏、凍夜が友人のキースを連れてきた。たまにサプライズで本指名をしてくれる。  カッコいい凍夜が颯爽と入って来た。太一とすれ違う。 「あ、宮原太一・・さん?」  凍夜は長くモダンバレエをやっていた。太一とも年が近い。キースも同じ年だ。 「太一さん⁈」  どんな理由があるにしてもホストになっていたのは、落ちぶれたように見える。 「太一さん、、フラメンコはもうやらないのですか?」  鞭打つようなキースの質問だった。 「太一さんも場内指名入りました。」 ミコトが凍夜の席に案内する。  元ちゃんとヒカルは完全に貫禄負け、だった。 「俺たち、ちょっとテレビに出たくらいじゃ勝ち目はないな。本気で何かを成し遂げた人たちには。」  落ち込んだ元ちゃんはテレビにかけていたのだ。 (はあーっ、俺は半端だな。 あんまり、ショックでもない。格が違う、と言われても、ふーん、そうなの、と思うだけだ。  元ちゃんの負けず嫌いが立派だと思う。)

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