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第46話 芸能人

「かずさん,すいません、今夜はちょっと仕事があるんで出かけます。」 「めずらしいな、仕事なんだ?」 ホストリーダーの零士さんに言われた。 「珍しいでしょ。元ちゃんのドラマ,俺はちょい役だったんだけどアップしたんで打ち上げに呼ばれたんだ。」  このドラマの監督は打ち上げには、関わったメンバーが全員揃わないと機嫌が悪い。二度と呼んでもらえなくなる。  今日は託児は休みをもらった。本当はいつもかずさんだけで充分だが、俺が無理矢理仕事させてもらっている。  ディアボラのホールを覗くと太一と目があった。ニコッと笑って姫の肩を抱く。慣れた雰囲気に少しだけジェラシー。  菫ちゃんはきちんと時給をくれる。タイムカードもある。ビジネスに抜かりはない、上条ホールディングスなのだ。  呼ばれたのは元ちゃんの人気でまあまあ視聴率を稼げたドラマだった。  今売り出し中の俺の相手役だった片桐愛と元ちゃんの相手役、森エレノア、がいた。俺は少ししか出番はなかったのに、仲間にしてくれた。  打ち上げは大御所の役者さん達が中心だ。 (芸能界はいつでも苦手だ。) 元ちゃんが俺の肩を抱いて 「この後は俺の部屋だ。先に行ってて。」 「え?元ちゃん女の子呼ぶの?」 「ああ、マサミさんの二次会に行ってから撒いてくるよ。ヒカル繋いでてくれ。」  マサミ会というのがあるらしい。逆らうと潰される、という。  元太の部屋はおしゃれなマンションだった。駆け出しの薄給でこんな所に住めるのか。  女の子二人を相手に緊張する。 「大丈夫よ。ヒカルの性癖は知ってるから。」 元太に聞いたという。 「アタシたちは同期なんだけど、恋人なの。 レズビアン。  元ちゃんはそれを知ってて助けてくれるんだよ。ほら一緒にドラマに出てた、高岡あきら、 あの人に迫られてたの。」 「あの俳優さん、もう65才って言ってたよ。」 「セックス出来ないから、若い女の子を呼ぶのよ。しつこく身体を欲しがるの。」 「元太が助けてくれる。」 「今日も誘われたけど、助かったの。 ヒカルって元太の恋人なの?」 「違うよ、俺、恋人いるもん。」 「えー、男?」 「そう、俺、ゲイだから。」 「元太はバイだよね。 今頃マサミさんの餌食になってるよ。」 「助けにいかなくちゃ。」 「無理。マサミ会、怖いよ。」

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