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第47話 金貸し斉藤

 玲奈は斉藤さんと暮らしている。というか、斉藤さんのマンションに転がり込んだようなものだ。斉藤さんは、新宿T会の構成員、本当にヤクザだった。  玲奈は本物のヤクザをカッコいい、と思ったのだ。遊ぶ金を借りまくって焦げ付かせ、脅されていた所を拾ってもらった。 「大概にせいよ。この女いくら摘んだんだ。」 舎弟がパソコンの画面を見せる。 「ええ、男に貢ぐとかで十万、また十万、と膨らんで、もう一千万超えてます。」 「そんなに借りてないよ。」 「膨らむんだよ。バカな女。」 この闇金のシステムは最初に三割の利子を取る。 十万借りたら手元には7万しか入らない。初めから三割引かれて渡される。その元金に十一(といち)の利子がつく。十日で十割。複利で26万に膨れ上がっている。その金にまた、十一の利子がつく。52万になる。それにまた十一。104万。 1ヶ月で100万を超える。  最初に受け取った7万円がひと月で100万を超えたわけだ。  玲奈はそんな金を借りたのだ。 「斉藤さん、あたしに興味あるんでしょ。 この前からジロジロ見てるの知ってたよ。 あたし行く所無いんだ。」 (この女、捨て身できやがった。 旦那殺して保険金で払うって? 舐めた事言いやがる。)  なにかおまえの誠、見せてみな。 というわけで玲奈は斉藤に言われるまま、背中一面に刺青を入れた。  高い料金で途中で止めたため、範囲は広いがはんぱな筋彫りのままだ。 「おまえ、バカだなぁ。もう生命保険には入れないぜ。」 「そうなの?でもカッコいいでしょ。」 「途中じゃねえか。」 「お金足りないって。」  保険に入れて身柄を拘束して働かせるつもりが 汚れてしまった。 「俺とした事が。この女には甘いな。」  金を要求したが、元旦那が,どうしたことか現ナマ三千万を耳を揃えて持たせて来た。 「おまえの旦那、使えるじゃねぇか。」 「正式に離婚したんだよ。もう使えないよ。 念書も取られた。」 「ふん、そんな事関係ねえよ。 ケツの毛までむしり取ってやるよ。 ヤクザ舐めんな。」  玲奈は震え上がった。  玲奈はカッコつけて地元のヤンキー仲間に湯水の如く金を出してやったのに、全く証拠がない。  返せ、とは今更言えない。 的外れな見栄っ張りの玲奈は、みんなが離れて行って初めて真実が見えた。 「友達じゃねえのかよ!」  もうとっくに地元でも誰も相手にしなくなっていた。

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