15 / 21

いつか与えた真紅の夜着を剥いだ肢体は、アロがしゃくり上げるたびに淫靡に震えていた。 俺も着衣を脱ぎ去り体を晒すと、彼は怯えた泣き顔を背けた。 その腕を取り、俺のペニスを握らせれば、アロは恐る恐る俺を擦(さす)った。 「アロ…」 被せた体を擦(す)り込んで知る肌は温かく、滑らかな快感にため息が漏れる。 「アーサー、さま…」 頭を抱いて髪を嗅ぎ、額に、鼻の頭に口づけて、涙ごと吸い取るまぶたを愛撫して、くたびれてもなお唇を奪い合う舌を吸っていれば、俺に絡みつく体はしっとりと張り付いて、甘く柔らかに匂い立った。 かつての筋肉が溶けた乳房を揉みしだき、柔い乳首をしごいて吸っているうちに、嗚咽は切ない啜り泣きに塗り変わっていった。 焦れて熱を増していく腹は柔く、噛んで、吸って、強く撫でて、俺の跡で埋めつくす。 脚を開いて晒し出した下腹部では、静かに勃起したその中心が淫らな体液を滲ませていた。 恥丘を愛でる唇で陰毛の剃り跡を愛撫して、むしゃぶりついた男根の膨らみを強く吸えば、アロは乳房を震わせて悦んだ。 「…ああ、ア、まって、いました…あ、ア、もっと、もっと、かわいがって、アア、ください…」 構わず押し上げた股の間を舐め下ろし、乱れた吐息と共に蠢くアヌスの皺を舌先でなぞると、抱えた脚がばたついた。 「ぃやだ、そこはっ、ばか、きたない、やめっーーー」 新たな涙を溜めた目を見据えながら、割り開いたアヌスを嗅げば、香ばしくスパイシーな淫臭が脳を焼く。 「ああ、ずっとお前が欲しかった…」 「だめっ、ああ、よごれてっ、だめぇ…」 充血したそこに唾液を注ぎ、指で掻き混ぜた肉壺は熱い。 「何が汚い」 「そこはーーー」 「王のザーメンに塗(まみ)れているからか」 「やめっーーー」 「お前と汚れるなら本望」 「あ、ア、いやーーー」 添えた亀頭に僅かに体重をかけただけで難なく飲みこまれた俺は、そのままずるずると根元まで滑り落ちる快感に我を忘れた。 「お、おおっ」 「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あーーー」 ごつごつと擦れる肉が馴染むまで。倒れた横顔を愛撫で宥(なだ)めながら、小さく腰を前後していた。 「あっ、ふ…ん、う、ア、ああ、ア…」 啜り泣く声が甘く掠れ始めると、抱いた体はみるみる玉の汗が浮かび、その男根から時折ぶじゅと汁が吹いた。 「あ、ああ、ああ、ああ…」 少しずつ広げていくストロークを早めながら、腰で繋がるたびに悩ましく呻く息を塞いだ舌で奪う。 「ん、ううっ、うう…」 俺の背に爪を立てたアロは、振り上げる腰で俺を迎え入れては、背を弓なりに跳ね上げる。 「ああ、アロっ…」 いやらしく肥大した乳首を噛んで、啜って、舌で転がして。俺をみちみちと絞る肉壺を浅く、深く、抉り続ける。 「あう、あア、ああ、あアア、ぃ、あ、アーーー」 快楽に堕ちて崩れていく表情(かお)は、俺を見ていなくても、涎を垂らしていようとも、なお麗しく、愛おしい。 熟れたアヌスから滑(ぬめ)る体液が溢(こぼ)れ出すと、ペニスに絡みついた襞が、優しくしごきながら俺を吸い始める。 「あ゛あ、アロっ…」 回す腰で掻き拡げて、柔く硬いそこに亀頭を擦(こす)り付けていれば、俺の背に痛みを残した手がシーツに滑り落ちた。 「あ、あ、あ、ああ…」 アロの芯で満ちていく熱を感じながら大きく腰を振り落とすと、彼はふらふらと彷徨う手を俺に伸ばした。 「あ、あ、あ、あーさー、さまッ…」 俺の首を掻き抱(いだ)き、腰を脚で引き寄せて。アロは、甘く爛(ただ)れた声で俺を呼んだ。 「あーさーさまっ…」 俺を探す瞳は快感に蕩(とろ)けては俺を見失い、また、俺に揺られながら俺を探す。 「あーさー、さまっーーー」 「ここにいるーーー」 「あ、ああ、もっと、もっと、はげしく…っ」 強くしがみつく体は熱く、滝のような汗が体を繋いでいる。 「ああっ…わたしを、こわして…おかしくなるほどっ、ついて…くださーーー」 濡れた体を震わせて、回す腰で俺を絞り上げるアロは、これまでに知るどんな彼より綺麗だった。 「ああ、ああっ、もう、わたしはっ…あっーーー」 「ひとりで、いくなっ」 首から剥がした手を握り込み、シーツに押さえつけて。奥歯を噛み締めしめながら、打ち込む腰を深く穿(うが)つ。 「アアっ、アアっ、アアっ、このままっ…」 「あ゛あっ、アローーー」 「ぁーさっーーーー」 ガクガクと痙攣する体の奥で、極まる肉が狂おしく収縮する。 「あッ………………!!!」 激しくのけぞり、悶える体を強く抱きながら、アロを癒やすエクスタシーを貫いて絶頂した。 それから。 体を繋げたまま獣のように縺れ合い、体位を変えて交じり合い、息を奪い、手と口の届く限りに印(あと)を刻(つ)けて、失禁させて、出すものが失くなっても腰を擦(こす)り合い、汗と体液に塗(まみ)れた体を重ねて力尽きたのは、夜明け前の最も冷え込む頃だった。

ともだちにシェアしよう!