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いつか与えた真紅の夜着を剥いだ肢体は、アロがしゃくり上げるたびに淫靡に震えていた。
俺も着衣を脱ぎ去り体を晒すと、彼は怯えた泣き顔を背けた。
その腕を取り、俺のペニスを握らせれば、アロは恐る恐る俺を擦(さす)った。
「アロ…」
被せた体を擦(す)り込んで知る肌は温かく、滑らかな快感にため息が漏れる。
「アーサー、さま…」
頭を抱いて髪を嗅ぎ、額に、鼻の頭に口づけて、涙ごと吸い取るまぶたを愛撫して、くたびれてもなお唇を奪い合う舌を吸っていれば、俺に絡みつく体はしっとりと張り付いて、甘く柔らかに匂い立った。
かつての筋肉が溶けた乳房を揉みしだき、柔い乳首をしごいて吸っているうちに、嗚咽は切ない啜り泣きに塗り変わっていった。
焦れて熱を増していく腹は柔く、噛んで、吸って、強く撫でて、俺の跡で埋めつくす。
脚を開いて晒し出した下腹部では、静かに勃起したその中心が淫らな体液を滲ませていた。
恥丘を愛でる唇で陰毛の剃り跡を愛撫して、むしゃぶりついた男根の膨らみを強く吸えば、アロは乳房を震わせて悦んだ。
「…ああ、ア、まって、いました…あ、ア、もっと、もっと、かわいがって、アア、ください…」
構わず押し上げた股の間を舐め下ろし、乱れた吐息と共に蠢くアヌスの皺を舌先でなぞると、抱えた脚がばたついた。
「ぃやだ、そこはっ、ばか、きたない、やめっーーー」
新たな涙を溜めた目を見据えながら、割り開いたアヌスを嗅げば、香ばしくスパイシーな淫臭が脳を焼く。
「ああ、ずっとお前が欲しかった…」
「だめっ、ああ、よごれてっ、だめぇ…」
充血したそこに唾液を注ぎ、指で掻き混ぜた肉壺は熱い。
「何が汚い」
「そこはーーー」
「王のザーメンに塗(まみ)れているからか」
「やめっーーー」
「お前と汚れるなら本望」
「あ、ア、いやーーー」
添えた亀頭に僅かに体重をかけただけで難なく飲みこまれた俺は、そのままずるずると根元まで滑り落ちる快感に我を忘れた。
「お、おおっ」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あーーー」
ごつごつと擦れる肉が馴染むまで。倒れた横顔を愛撫で宥(なだ)めながら、小さく腰を前後していた。
「あっ、ふ…ん、う、ア、ああ、ア…」
啜り泣く声が甘く掠れ始めると、抱いた体はみるみる玉の汗が浮かび、その男根から時折ぶじゅと汁が吹いた。
「あ、ああ、ああ、ああ…」
少しずつ広げていくストロークを早めながら、腰で繋がるたびに悩ましく呻く息を塞いだ舌で奪う。
「ん、ううっ、うう…」
俺の背に爪を立てたアロは、振り上げる腰で俺を迎え入れては、背を弓なりに跳ね上げる。
「ああ、アロっ…」
いやらしく肥大した乳首を噛んで、啜って、舌で転がして。俺をみちみちと絞る肉壺を浅く、深く、抉り続ける。
「あう、あア、ああ、あアア、ぃ、あ、アーーー」
快楽に堕ちて崩れていく表情(かお)は、俺を見ていなくても、涎を垂らしていようとも、なお麗しく、愛おしい。
熟れたアヌスから滑(ぬめ)る体液が溢(こぼ)れ出すと、ペニスに絡みついた襞が、優しくしごきながら俺を吸い始める。
「あ゛あ、アロっ…」
回す腰で掻き拡げて、柔く硬いそこに亀頭を擦(こす)り付けていれば、俺の背に痛みを残した手がシーツに滑り落ちた。
「あ、あ、あ、ああ…」
アロの芯で満ちていく熱を感じながら大きく腰を振り落とすと、彼はふらふらと彷徨う手を俺に伸ばした。
「あ、あ、あ、あーさー、さまッ…」
俺の首を掻き抱(いだ)き、腰を脚で引き寄せて。アロは、甘く爛(ただ)れた声で俺を呼んだ。
「あーさーさまっ…」
俺を探す瞳は快感に蕩(とろ)けては俺を見失い、また、俺に揺られながら俺を探す。
「あーさー、さまっーーー」
「ここにいるーーー」
「あ、ああ、もっと、もっと、はげしく…っ」
強くしがみつく体は熱く、滝のような汗が体を繋いでいる。
「ああっ…わたしを、こわして…おかしくなるほどっ、ついて…くださーーー」
濡れた体を震わせて、回す腰で俺を絞り上げるアロは、これまでに知るどんな彼より綺麗だった。
「ああ、ああっ、もう、わたしはっ…あっーーー」
「ひとりで、いくなっ」
首から剥がした手を握り込み、シーツに押さえつけて。奥歯を噛み締めしめながら、打ち込む腰を深く穿(うが)つ。
「アアっ、アアっ、アアっ、このままっ…」
「あ゛あっ、アローーー」
「ぁーさっーーーー」
ガクガクと痙攣する体の奥で、極まる肉が狂おしく収縮する。
「あッ………………!!!」
激しくのけぞり、悶える体を強く抱きながら、アロを癒やすエクスタシーを貫いて絶頂した。
それから。
体を繋げたまま獣のように縺れ合い、体位を変えて交じり合い、息を奪い、手と口の届く限りに印(あと)を刻(つ)けて、失禁させて、出すものが失くなっても腰を擦(こす)り合い、汗と体液に塗(まみ)れた体を重ねて力尽きたのは、夜明け前の最も冷え込む頃だった。
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