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第114話 ※
香油に濡れた指が、じっくりとアスカの内を広げていく。
天蓋の中は、妖艶な香りで満たされていた。
「上手だ。少し動かしやすくなってきた」
内壁を撫でられ、ある一点を指が掠める度に、アスカの体にズクンと熱が溜まっている。
「っは、はぁ……っん、リオール、さま、そこ……そこが、ぁ……っ」
「……ここか?」
「んぅっ!」
軽く指先で叩かれると、ビリビリと体に走った感覚。
驚いて体を震わせる。体を逃がそうとすると、それより先に唇が塞がれ、濃厚な口付けで頭が蕩けていく。
快感と羞恥が交互に押し寄せる。
アスカの身体は自然とリオールの手に縋っていた。
「……ずいぶんと感じやすいな。……こんなに、柔らかくなっている」
「っ……し、知らな……っ、こんなの、知らない……っ」
情けない声が零れても、リオールは何一つ笑わない。ただ深く、慈しむような眼差しでアスカを見つめている。
そして、そっと囁いた。
「……今日は、ここまでにしておこう。だが……」
指が引き抜かれ、アスカは呼吸荒くリオールを見上げる。
彼は少し苦しそうに息を吐く。
どうしたんだろうと、ゆっくり体を起こしたアスカは、リオールの足の間で主張する怒張を見てヒュっと息を飲んだ。
「り、リオール様」
「……挿れはしない。だから、少し、付き合ってくれぬか」
「ぁ……」
アスカはゴクリと唾液を飲み込むと、ゆっくり頷いた。
彼が何をしようとしているのかは分からなかったけれど、四つ這いになるように言われ、思わず体が固まった。
「っ、そ、そのような、格好……」
思わず小さな声でそう呟いたけれど、彼は怖いという自分のことを考えて、我慢してくれている。
そう思うと、体はぎこちなく、ゆっくりと動いていた。
四つ這いになって、秘所を全て晒す恥ずかしさは、言葉にできない。
「っひ!」
「すまない」
閉じた内腿に香油が垂らされる。
あまりの羞恥心に体は震えていた。
腰を掴まれ、太腿の間に怒張が宛てがわれる。
そうして、熱い肉が、ぬるりと擦れた。
「んっ、はぅ……っ」
「は……っ」
リオールが腰を小さく動かす。そのたび、ぬちゅ、ぬちゅと湿った音が響く。
浅く腰を打ちつけ合うたび、二人の先端が擦れ合い、火花のような快感が走る。
アスカは、支える腕に力が入らず、うつ伏せに近い姿勢で身を預けるようになった。
リオールはその背に覆い被さるようにして、唇を首筋へ這わせる。
ふたりの熱が絡み合い、擦れ合う音も、呼吸も、すべてが快楽を高めていく。
「っぁ、き、もちいい、です……っ、ん、リオール、さまぁ……」
項に唇が触れる度、心が震える。
段々と射精感が込み上げてきて、アスカは声を上げた。
「あっ、リオールさま、もう……っ」
「ああ、私もだ……一緒に……」
アスカの体がびくんと震え、艶やかな声が漏れるのと同時に、リオールもまた短く呻いて達した。
とろとろに蕩けた香油と、互いの汗が肌に滴る。
重なった体のまま、しばらく二人は静かに息を整えていた。
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