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第139話 ※
何度目かの夜を越えて、ふたりの身体はすでに互いを深く知っていた。
けれど、それでもまだ──欲しい、と思ってしまう。
未だ火照りを抱えているアスカは、シーツの上でそっと寝返りを打った。
後ろから抱きしめるように腕を回していたリオールの呼吸が、ぴくりと揺れた。
「……眠れないのか」
囁くように問いかける。
するとアスカは脚をモジモジとさせ、リオールに顔を向ける。
「また……体が熱くて……」
小さく呟いたアスカに、リオールはそっと頬を寄せた。
ひたり、と肌が重なり合い、ぬくもりが染み渡る。
「無理をさせてはいないか? もう何度も……」
「違います……リオール様が触れてくれるのが、嬉しくて……っ、もっと……欲しいと、思ってしまうのです……」
その言葉を聞いた瞬間、リオールの腕に力がこもった。
ぐっとアスカの細い身体を抱き寄せ、額をこつんと重ねる。
「……愛おしい。こんなにも、愛しいのに……まだ足りないなんて、罪だな」
「リオールさま……」
唇が重なった。
今までよりも穏やかで、深く、甘く溶けていくようなキス。
触れ合った舌が、ゆっくりと愛を確かめるように絡み合う。
気がつけば、アスカの脚は自然と開かれていた。
リオールの指はその間を這い、愛しげに撫でていく。
「まだ……熱が残ってるな。……中が、欲しがってる」
「っ、あ……っ、リオールさま……っ、もう……」
言葉が溶けていっている。
熱に浮かされているようで、何度も名前を呼んでくれる。
「ゆっくり、する。何度でも、優しく……アスカが壊れてしまわないように……」
そっと抱きしめたまま、ふたりは再びひとつになる。
身体と心が重なり合っていくそのたびに、愛おしさが増していった。
──発情期は、まだ終わらない。
しかし、アスカの熱も、痛みも、幸せも、すべてを分かち合えるのなら、この時間は言葉にできないほど愛しくて、大切なものだ。
リオールの腕の中にいる愛おしい存在に、そっと唇を落とした。
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