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第141話

 アスカと朝食を摂ることにしたリオールは、先ずは身なりを整えようと、体を起こした。  そうして、ふと、アスカを見る。 「……すまない。跡を、残しすぎた……」 「え……?」  掛布がはだけ、アスカの白い肌がよく見えるのだが、体の至る所に赤い印をつけてしまっていた。 「……ふふ。陛下の所有印のようで、素敵でしょう?」 「!」 「私は、とても嬉しいです。……ですが、わがままを言うなら、私も陛下につけたい。私の陛下だという証を、つけてはだめですか……?」 「……。いいに決まっているだろう……」  可愛らしい願いに、リオールはつい固まり、そしてヘナヘナと力なく笑う。  嬉しそうなアスカは、早速挑戦しようと体を起こそうとして、全く力が入らなかったのか、寝台にポスンと逆戻りした。 「……陛下、力が、入りません……」 「それは、そうだろうな。あれだけ交合ったのだから」  キョトンと驚いた顔のまま、見上げられておもわず頬が緩む。  少しムッとした表情を見せたアスカの隣にくつくつ笑いながら、再び寝転んでやると、そっと近づいてきて鎖骨の辺りに唇が触れた。 「ん……あれ……? 上手くできない……」 「はは、擽ったいぞ」 「あ、動かないでください。もう少し……」 「ふふ」  それから少し粘ったのだが、アスカの思うようにはつけられなかったらしい。  結局、諦めたアスカの頭を撫でて、今度こそ身なりを整えることにする。 「侍女を呼ぶから、アスカはそこで休んでなさい。朝食は共に。待っているから、ゆっくりおいで」 「はい」  寝台を抜けて、陽春の手を借り衣を着替える。   「お顔色が、とても良うございますね」 「そうだろうな」 「王妃様のお体はご無事でしょうか……」 「……いや、無理をさせてしまった」  これまで受けてきた訓練で、あんなにも心踊ったことは無い。  アスカの白い肌がほんのり赤く染まり、何度も求めるように手を伸ばしてくる姿が、あまりにも綺麗で──。 「番になれたことが、何より嬉しい」 「はい。おめでとうございます。私もとても嬉しく思います」  心からそう思っているのだろう。陽春は柔く微笑んで何度と頷いた。

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