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第199話 ※
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「ま、まだ、まだ嫌です、できません……!」
寝台へと押し倒したアスカが、自身の下で首を振る。
それにリオールは首を傾げた。
「まだ? 嫌?」
「っ……はい……」
「なぜだ。アルマが生まれてしばらく経つが、体が痛むか? それとも、あまり気分が良くないか?」
「ぇ、えっと……違うの、ですが……」
「?」
しりすぼみになっていくアスカ。
一度上から退くと、上体を起こした彼は、キュッと肩をすくめるようにして体を小さくする。
「あの……実は、」
「なんだ。……もしや、私と行為をするのが嫌になったか……!」
「それは断じて違います!」
「……?」
体をモジモジとさせたアスカは、きゅっと目を閉じると、意を決したように顔を上げた。
「まだ、出産前の体のように、戻ってなくて……」
「うん?」
「……ですから、前のように、綺麗な見た目では、ありません……」
お腹をそっと撫でた彼に、リオールはなるほど、とひとつ頷くと、柔く微笑んでアスカを抱きしめ、唇に口付けを落とす。
「んっ!」
「そのようなことを、気にしていたのか?」
「っ、だって、恥ずかしくて……」
「恥じることなどない。アスカがアルマを大切に育ててくれていた証だ。私にはできないことを、してくれたのだ。その全てが、私にとっては愛しくて、尊敬に値すること」
「リオール様……」
手を取って優しく握る。
そのまま、手の甲に唇で触れ、じっと彼を見つめた。
「愛しい人、どうか許してくれ」
「っ!」
アスカは顔を赤くすると、少しして小さく頷いた。
「ありがとう。だが、どうしても見られたくないのなら、後ろからでも構わないぞ」
「っ、ぅ、わ、わかりま、せん……っ」
「はは。可愛いな」
「ぁ……ん……」
唇を重ねる度、アスカが蕩けていく。
舌を絡め、いやらしい水音が響かせながら、ゆっくりと、慎重にアスカの衣を解いていく
「アスカ、少しでも、痛みがあれば教えてくれ。産後初めてだからな、無理はさせない」
「っん、はい……っ」
首筋に吸い付き、柔らかな肌を舌先で這わせると、アスカは小さく震えた。
産後、まだ完全に整っていない身体――けれど、リオールの触れ方は、それを丁寧に受け入れるものでしかなかった。
「ここも……触れていいか?」
胸元に手を添えながら問うと、アスカは頷く。
指先が触れただけで、体は敏感に跳ね、甘い吐息が漏れた。
「……ふ、ぁ……っ、や、そこ、あっ……」
舌が、尖った先端を愛おしげに舐め上げる。
何度も、じっくり、焦らすように。
アスカの両脚がぎゅっとすり寄せられるのを見て、リオールはゆっくりと手を這わせていく。
「アスカ……ここも、もう濡れてきている。嬉しいな」
「っ、そんな……言わないで、ください……」
「愛しいのだから仕方がないだろう」
指が熱を帯びた蕾をなぞるたび、アスカの呼吸が乱れていく。
それでもリオールは急がない。ただひたすらに、アスカの反応を確かめながら、慎重に快楽を重ねていった。
「リオール、さま……っ、もう……っ」
彼の名を呼ぶ声が、涙を含んで震える。
快感だけではない、安心と愛情に包まれて──アスカの全てがほぐれていく。
「入れるぞ。ゆっくり、するからな……」
「は、い……お願いします……っ」
熱を帯びた肉が触れ合い、静かに繋がっていく。
初めてのように慎重で、何度も愛を確かめるような動き。
深くまで届いたとき、アスカの唇が震え、あふれる涙が頬を伝った。
「アスカ……泣いているのか?」
「っ、だって……嬉しくて……」
リオールはその涙を唇で掬い、優しくアスカを抱きしめる。
交わるたびに、心まで溶け合っていくようだった。
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