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ネロが吸いながら3度頭を前後しただけで、俺の意に反してペニスはみるみる膨れ、5度吸われた時には亀頭が男の上顎を突いていた。 ネロの物になった椅子に深く掛けた俺は、股間が煮えるような快感に抗いながら、ふと、シーザーとネロの始まりを思い出していた。 喧(かまびす)しいクラブの薄暗がりで蛇のようにシーザーに絡みつき、フェラのひとつで情夫に昇格したこの男は、あの夜も、同じ目で、同じ口で、情熱的に奉仕をしていた。 なんとか飲まれぬように堪(こら)えていても、銃を握る手に熱い手が絡みつき、一層猛るペニスを柔らかな舌が嘲笑う。 あっさり果てた俺になおもむしゃぶりついて、丁寧に残滓を啜り取ったネロは、下品な音を立てて亀頭を唇から抜いた。そして腰を上げ、デスクに寄りかかると、「アンタのちんぽ、ブチ込んでよ」と笑った。他人の血を潤滑油にして、見せつけるようにペニスをしごくこの男は、完全に狂っている。 ますます醜悪な眺めに眉をひそめても、どういうわけか股間には早くも血が巡り、引きずられるように腰を上げた俺は、吸い込まれるように男に手を伸ばしていた。そして、赤い体を裏返し、デスクに白い背を押さえつけて、闇雲に探った尻の割れ目にペニスを一息に捩じ込んだ。 俺がハニートラップにはまらないのは、セックスは単なる行為に過ぎないからだ。それなのに、飲まれたら終わりとわかっているのにも関わらず、3度腰を往復しただけで、ずるずると蟻地獄に滑り堕ちる自分が見えていた。 「…あ、は、あ…ッ♡」 体で押さえ込む体は熱く、今初めて目と鼻の先で見る横顔は紛れもなくよがり、耳障りなほど上ずる声に嘘偽りはない。 「…おっ、ああっ…あーさー…っ♡」 銃を握ったままの手を探られて我に返り、なんとか主導権は渡すまいと堪(こら)える。それでも、シーザーをあっけなく食らい、骨の髄まで絞り取った男の味は痺れるほど甘く、毒のように体を巡って、確実に理性まで蝕まれていく。 「ア、あアっ、あ、あーさー♡、そこォ♡…ッあ゛ーーー」 俺の名を呼ぶ唇が笑い、蕩けた視界に火花が散る。 「お、お゛ッーーー」 麻薬のような男をカラダで思い知った俺は、果てたペニスを搾られる快楽に咆哮した。

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