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第二章 穢した愛 2 ⭐
話には聞いていたが、男性と交わる時は後ろの蕾を使うらしい。
蕾が傷つかないよう軟膏 をたっぷりと塗って、ゆっくりと指を一本だけ挿入した。
つぷ、と挿 れた瞬間、妙な感触が尻からざわざわと蠢 いてくる。
快感よりも得体の知れない違和感の方が勝っていて、すぐに指を引こうとした。
『アドニス様の中はとても熱くて、柔らかいですね』
「はうっ……!」
ユリセスの残像が突然目の前に現れた。
すると、今まで妙な感覚だったところが熱くなり、粘膜の一つ一つが快感を求めるように痺れ始める。
「あ……ああ……」
『アドニス様の中はきっと気持ちいいのでしょうね』
ユリセスが耳元で――あの低く掠 れた声で呟いた。
声に呼応して自然と指が肉壁を蠢き回る。
「ゆ……ユリセス様……」
『ああ、アドニス様……あなたと一つになりたい……』
想像のユリセスが、自身の肉棒を取り出した。
アドニスの屹立よりも一回りも大きく、白く透明な肌に似合わない赤黒さ。
先端は腹の奥までを突き破るような凶悪な槍。
触れば固く、ドクドクと脈打って熱い。
「ひううっ!」
途端に腹の中心がドクドクと熱を持ち、脈打つ。
『アドニス様、私が初めての男になっていいですか……?』
「い……いいですっ……ユリセス様……来て……来てぇ……っ」
――ここに……ここに……ユリセス様のものが……。
挿入した指を開いて、蕾の中を広げた。
そこは既に、見えない誰かを迎えるために開ききっていた。
――ユリセス様はこんなに大きくて……熱くて……逞 しいのでしょう……?
ユリセスの凶器がゆっくりと蕾に侵入してくる。
同時に指をゆっくりと挿入させた。
『アドニス様……もう優しくできません……! あなたを壊したい……!』
「あ……あっ……ユリセス様ぁ……」
ユリセスは夢中になって、腰を打ち付ける。
耳元で卑猥な破裂音が響き始める。
気づけば、三本の指が出入りしていた。
自分でも信じられないほど、いやらしい音を立てながら――。
アドニスは腰をくねらせ、股を開き、ただ快楽に溺れていた。
「ユリセス様っ……ユリセス様ぁっ……」
『アドニス様は……ここがお好きですか?』
ユリセスの凶器が最奥まで侵入して、身体の芯を刺激する。
想像しただけ、背筋がぞくぞくとした。
「あぇっ……そ、そこぉっ……おおおおっ……」
恥じらいもない、はしたない喘ぎ声――獣の交尾のような。
「んひぃっ……ユリセス様っ……ここっ……おおおっ……もっと……」
『アドニス様、なんと可愛らしい』
ユリセスが顔中にキスの雨を降らせる。
そして、あの美しい唇が自分の口元へ――。
「あへっ……えぅぅ……好きぃ……ユリセス様ぁ……」
屹立から滴る欲の雫は、蕾を濡らし、熱に浮かされた肉がひくつく。
涎を垂らした口元から、抑えの利かない喘ぎが漏れる。
顔も、声も、形も――ユリセスしか浮かばない。
愛しいなんて感情じゃ足りない。
食らい尽くしたいほど、欲しい。
触れたい。
繋がりたい。
神に最も近い、気高き神官はもういなかった。
今ここにいるのは――ただ、ユリセスのために発情する獣だった。
「ユリセス様ぁ……もう……もうっ……」
上下に扱く手が早くなる。
挿入する指が加速する。
『アドニス様、一緒に……』
思い切り、指で肉壁を擦り上げた。
最奥が急激に熱を帯びる――とろけた秘肉にユリセスの熱い白濁液が散った。
「あぁああああっ!」
身体の奥で何かが弾けた瞬間、視界がぱっと白く染まる。
腹部に、生ぬるい感触――。
視線を落とせば、白濁が肌の上に小さな水たまりを作っていた。
息も絶え絶えに、ゆっくりと肉壁から指を抜く。
けれど、果ててもなお、最奥の疼きは消えなかった。
――まだ……まだ足りない……。
「ユリセス様……ユリセス様……欲しいです……」
ユリセスを思う度に肉壁が熱くなり、最奥が疼く。
――もうすぐ免罪符の日だと言うのに……。
「ああっ……ユリセス様……どうか……ご慈悲を……っ! 貴方の声を、体を……全部を、ください……っ……!」
そして、再び蕾に手を伸ばし、自身を扱き始める。
免罪符の前日まで――そう言い訳をしながら、アドニスは夜ごと指を這 わせる自分を止められなかった。
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