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第二章 穢した愛 15 ⭐
男がアドニスの弱点に、ぐり、と意地悪く先端を押し付けた。
それだけで、腰が勝手に跳ねる。
ふと、耳元に熱い息がかかった。
「ここに……俺の精液、全部飲ませたいなぁ……」
「あ……うああ……っ」
――だめ……来ないで……!
またイかされる。
もう、身体が壊れてしまう。
怖い。
身体の奥で、何かが壊れてしまう気がして――ユリセスの顔が浮かんだ。
……中に出されたら、もう戻れない。
今度こそ、本当に――。
ゾクリと背中を冷たいものが這い上がる。
「いや……やめて……っ」
アドニスは本能のままに腰を引いた。
けれど、逃げられない。
男の指が腰をがっちりと掴み、動きを封じる。
「ひぃっ……!」
熱が、また押し付けられた。
「なんで逃げるの? もしかして……またイッちゃうの?」
「ちがっ……いやだ! やめて! 出さないでぇっ!」
喉の奥から、震える悲鳴がこぼれた。
快楽じゃない。
恐怖だった――。
このまま、またイかされる。
何度も壊されて、もう戻れないのが……怖くてたまらなかった。
「はぁ……かわいい神官様……。ここに、たっぷりあげるからね……」
「やっ……! やだっ! やだぁっ!」
勢いを増した抽挿が続き、身体がくの字に折れそうになる。
奥を抉るたび、とろけた表情のまま喘ぎが漏れる。
「あえっ……! やめてぇ……ああっ……だめぇ……」
「ああ……その声でイキそう……」
男の肉棒が脈打つように膨れ上がり、秘肉の奥全体に熱が押し寄せる。
――来る。来てしまう。
「やだっ……ああんっ……やだ……やだぁっ!」
「イクよ、出すよ……!」
先端が直腸をせり上げるように突き上げられた。
そのまま、勢いよく押し込まれる。
「あっ……いやっ……ああああああああ!」
膨張した凶器が、奥に押しつけられた瞬間――。
ドクドクと熱い液が、一気に注ぎ込まれた。
「おおっ……おおお……!」
弱点に当たって、熱がじんわりと染みてくる。
奥の奥まで、満たされていくのがわかった。
――熱い……奥が、熱いよぉ……。
アドニスの屹立から、少量の白濁がこぼれる。
頭が真っ白になる。
身体だけじゃない。
心まで、吐精された気がした。
「わかる? ……俺の精液が染み込んでいってるね……」
「やめ……あひ……ああ……」
「神官様……孕ませたいなぁ……」
男は嬉しそうにアドニスを抱きしめると、肉壁全体に白濁液がまとわりつくよう、抽挿を何度も繰り返した。
グチャッグチャッと、不快な音だけが室内に響いた。
――終わった……。ようやく解放される。
冷気を帯びた風が室内に入ってきて、だんだんとアドニスに冷静さが戻ってきた。
忘れよう。
これは罰。
神が与えた、最初の試練――。
そう思えば、少しは……許される気がした。
それより、心配なのは村のこと。
この男を信用してはいけない。
すぐにでも、警備隊へ連絡して村に包囲網をひいて……。
と、そこまで考えて、アドニスの顔は少しずつ青ざめた。
冷たい風が、破滅の後の静寂を連れてくる。
抜けていない――。
ぬるりとした感触が、奥でまだうごめいている。
まだ、男の熱が――脈打っていた。
身体中の熱が一気に冷めていく。
終わった――と思っていた。
――うそ……そんな……。
嫌なのに、怖いのに、どこか……安心してしまうのが、一番怖かった。
――もう終わったと言って……お願いだから……。
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