40 / 66

第三章 抗えない淫愛 11 ⭐

 それは記憶だけの疼きじゃない。  身体の奥に残る媚薬が、今も熱を(あお)っている――。    ――もう我慢できない……。    「ここだ」というように腰を振って、指を抜き差しした。  腰の疼きが更に強くなってきた。  何度擦っても、一番欲しいところには届かなかった。   「疼く?」 「あうう……奥……奥が……」 「じゃあ、挿れるしかないかなぁ」    ――挿れる……?    男のニチャアとした、湿り気のある舌なめずりが聞こえる。    「この媚薬はね、精液で中和されるんだよ」    ゆっくりと腹部をなぞられた瞬間、そこに潜んでいた媚薬の熱が一気に暴れ出した。  秘肉の弱点がドクンドクンと脈打ち、刺激が欲しいと暴れ回る。   「はうううっ!」 「ああ、この辺だったら指じゃ届かないかもねぇ……もっと長いモノじゃないと」    男の言いたいことはわかっていた――  肉棒を入れるしか方法はないと。   「あえぇ……止めて……止めてぇ……」 「あ、そうだ。こうしたら、どう?」    男は突然、アドニスの両足を抱えた。  腹部に熱を当てて、秘肉の弱点を上からぐっと押した。   「ひぃぃいいいいい!」    今までにない刺激が身体中を駆け抜ける。  脳内にまで電流が流れ、視界の端が白く弾けて、息が止まりそうになった。   「ほら、俺のチンポだと届くよ?」 「やっ、やめて……やめでぇっ……!」    男は何度も何度も槍のような先端で、弱点を上から擦りつけた。    ――こ、こんな……こと……されたら……また……堕ちてしまうよぉっ……!   「ひ、ひぎっ! ひぃっ! や、やめて! やめてぇっ!」 「気持ちいいの? じゃあ、こうやって擦ってあげる」 「んひぃぃっ!」    思わず背筋が反り返る。  そうじゃないと、頭を振った。    気持ちいいどころか、中途半端な刺激を続けられたら、肉壁の疼きが増して気が狂いそうになってしまう。    やはり今日も屈してしまう。    これ以上は自分じゃ止められない……。    ――赦して……ユリセス様……。

ともだちにシェアしよう!