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「まあ父親も、違う会社の社長やってるけど、北條グループのCEOはオレがいいって、じいちゃんが――うちの一族で、じいちゃんに逆らえる奴は居ないから」
「はあ……」
「怪しくないって、信じてくれた?」
信じる、かぁ。信じる、ねぇ。うーん……。
「このホームページが偽物ってことは……?」
「じゃあ自分で調べてみて。そこにある薬局、うちのグループのだから、その名前から調べて、会社のグループに飛んで、そっから……」
「言われなくても調べられます。ちょっと待っててくださいね」
言ったオレに、また面白そうに笑ってる。何をさっきから、そんなに楽しそうなんだか。ていうか、オレはこれを今ここで調べて、何になるんだろ? と思いながらも、ちゃんとリンクをたどっていくと、さっき見せてもらったホームページが出てきた。
「おお。本物……」
出てきた情報に、目の前の顔と比べて、頷く。
「――で、本物なのは分かりました。けど……」
えーと……。
「あの、用件はなんですか?」
オレのあの未知の店への第一歩を邪魔して、何を話したいんだろ?
オレよりも、頭一つ分おおきい、その顔を見上げる。
――なんか、ウエストの位置が高すぎて、引く。脚、ながすぎ。手足長くて、肩幅はあるし、顔、ちっさいし。こういう人が、モデルとかやるのかな。この人もきっと、やってたに違いない。道行く人が、この人をチラチラ振り返っていくのも、すごく分かる。目立ちすぎる。
「自己紹介するね。オレは、|北條 瑛士《ほうじょう えいじ》。年は二十七歳。独身、恋人無し、この近くの超高級マンションに一人暮らし。はい、これ、名刺ね」
「あ、はい……」
流れるような仕草で名刺を取り出して、渡してくれる。なんか。見たこと無い位、オシャレなデザイン。名刺のまわりに、細い金のラインが入ってて、すっごく上品。名刺からすごいな。
「君は? とりあえず言えることだけでいいよ」
「凛太……二十歳です」
「情報、少なっ」
なんだか面白そうに笑われるけど。
ええ、だって。いくらCEOってのが本当だったとしても、そんな、どんな人か分からないし、しかもむしろ権力者とか、こわいじゃんね。そんな個人情報、たくさん、与えたくない。
眉を寄せて、北條さん、を見つめていると。
「えーと。どうやれば、オレが怪しくないって、信じてもらえる?」
「――オレに信じさせたい、意味が分からないんです……」
困って言うと、北條さんはぷ、と笑った。
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