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 ――ほんと、なんだろう? と、その口が開くのを待っていると。 「今聞いたの、オレの言うこと、聞いてくれたら、解消できるかも」 「――?」  どういうこと?  なんかちょっと、話を聞きたいと思った。 「君のこともう少し聞いてもいい?」 「……答えられることなら」 「OK、それでいいよ。恋人はいる? いつか番になりたい人とか」 「いません……ていうか、むしろ、オレは、番にはなりたくありません」 「そうなの?」 「ヒートもそんなひどくないし、たまにくる三日間をひきこもって耐えれば、それ以外の時は大丈夫ですし」 「抑制剤は?」 「高いのでもったいないですし、三日間くらいなので耐えられる程度です」 「――そんなにそのお金、使いたくないの?」 「そうですね。ほんとは、学費も、出されたくないんですけど……医学部高くて、これは絶対無理なので」  オレがそう言うと、北條さんは瞳を細めて、オレを見つめた。 「ご飯とかはちゃんと食べてる?」 「まあ死なない程度には」 「――……」  北條さんはさっきからずっと苦笑な気がする。  でも、それも、なんか嫌な感じじゃなくて、優しい感じに見えるので、ふ、とオレまで笑ってしまう。なんか不思議な、人だなぁ……。なんか惹きつけられる。人として? なんだろうね、これ。  カリスマ性とか――こういう感じを言うなら。  αの押し付けてくる威圧的なそれじゃないなら、結構好きかもしれない。 「人助けにもなる気がしてきた。オレと君、きっと良いパートナーになる気がするんだよね。話、詳しく聞いてみない?」  すごく至近距離で、じっと見つめられる。  陽の加減なのか、綺麗な紫に見える瞳。  うわ。なにこの瞳。初めて見た。  自然界にはほとんど居ないはずの瞳の色。これは――。 「北條さんて、α、ですか?」 「オレ、αだよ。極上って言われてる、トリプルエスランク」 「――」  やっぱり。  強烈な人に出会ってしまったのかも。瞳だけでもう、高貴すぎて、ヤバい。

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