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5.戸籍にバツ?
「――君は、Ωなんだよね? 全然なにも感じないけど。でもそれ、お互い様っぽいよね? オレのフェロモンとか、少しでも感じて……なさそうだよね?」
なんか面白そうな顔してそんなことを聞かれる。
「んと……オレは――あなたと真逆ですね」
「真逆?」
「ランクを判定できないって言われました。Ωの要素が薄すぎて」
「そんなこと、あるんだ?」
意外そうに聞いてくる北條さんに、オレは静かに頷いた。
「あるみたいです。でも一応、Ωみたいで。でも、フェロモンとか、普段はほとんど感じないです」
「そうなんだ。そっか……んー……なんかそれ、オレにとって、すごく助かってしまうかも……」
「――? 判定不能が、ですか?」
助かるって何だろう。と首を傾げていると。
「いや、そっちじゃなくて――ごめんね、オレの話、聞いてくれる時間、ある?」
「――うーん……」
オレのさっきまでの予定としては、あの店に話を聞きに行って、とりあえず、今後どうするか決めて、それから、昼と夜のご飯の買い出しして、帰って勉強、だったんだけど。
「じゃあさ、あそこのレストランで好きなものを奢るよ。話を聞いてもらう報酬ってことで。で、おまけに、夕飯も何かテイクアウトで渡す。一時間くらいで、話は済ませるから。その後のことは、その話の流れ次第で」
えーどうしようかなあ、と思いながら、北條さんが指差した店に視線を向けると。
そこは、絶対行けないと思う、超高級料理店。
まあ、お金は持ってるけど、使いたくないから、日々、貧乏学生みたいな暮らしだし。
使うとしたって、あんなお店、メニューすら良く分からなそうだから一人では入れないし。この機会を逃したら一生入れないかもって思うと。頷く以外の選択肢はなかった。
ニッと笑った北條さんは、オレの背にぽんぽん、と優しく触れて、歩き出した。
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