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111.初めての大人の※

  頬を優しく包まれて、引き寄せられる。  何度も優しいキスが触れる。  少し、ついばむみたいにされて、くすぐったい。  優しくキスしながら、汗ばんでくオレの肌を、瑛士さんの指がなぞる。背中、すごくぞくぞくする。あっという間に、息が上がって、下半身、熱くなる。  キスされながら、溶けちゃうかも……と思った。  上はいつの間に脱がされて、ベッドに押し倒されると、今度は少し深く唇が重なった。 「……ん、ン……」  キス、きもちいい。触れる唇が柔らかくて。甘くて。  こんなだから、人はキスするのか、と思った。  なんで、口なんかくっつけるのかなぁ。舌なんて触れ合わせるとか、なんでだろ。と。無意識に思ってたと思う。  こんなに気持ちいいから、するのかぁ……。  そんなことをぼんやり考えていたけど、すぐにまた何も考えられなくなる。  息があがる。重ねてるだけなのに、息がちゃんとできない。 「えい、じさ」 「大丈夫。息、して」  息を一生けんめいする、とか、意味が分からないけど。  頑張って吸っていると、瑛士さんがクス、と笑いながら、今度は首筋にキスしてきた。 「やっ」  びく、と大きく震えて、また息も出来なくなる。 「……っふ」  胸に手が滑って、乳首を掠めた時、びっくりするくらい、体が、大きく震えた。 「……っ……??」  何今の。  そんなとこは、触ったこと、無かった。  瑛士さんの喉が、ごく、と鳴って――見上げようとしたら、ぎゅ、と抱き締められた。 「……ああ、もう――可愛いな」  首筋に瑛士さんの顔が埋まって、熱い息がかかる。そのまま首筋にキスされると、また体が震える。  ……っ震えすぎ、オレ。なんだか体が、強張る。  どうしてたらいいんだろう、もう。  すごく困って、瑛士さんを見上げて、唇を噛みしめたら。オレを見つめ返した瑛士さんが、ふ、と優しく瞳を緩めた。  こんな時でも……瑛士さんの笑顔は、ほっとするみたいで、少し体から力が抜けた。 「考えなくていいよ。声出していいし」  優しい声。甘い甘い、誘惑みたい。 「どんなに凛太が乱れても――可愛いだけだから」 「――」  瑛士さんと会ってから、いつもいつも、可愛いって言ってくれてた。  ――なんだかそれが……その言葉を信じさせて、くれるみたいで。 「瑛士さん……」  名を呼んだ唇を、またキスが塞いでくる。  うなじに瑛士さんの手が触れて、瑛士さんの方に押し付けられる。  触れるだけのキス。  大人のキス、なんて言ったけど……ただ重ねるだけ。  角度を変えて、重なる。  しばらくすると、なんだか、ものたりない気持ちになってきた。  ――舌、入れない、のかな……。  気持ちよすぎて。おかしくなってきたみたい。 「えい、じ、さ……」 「ん……?」  縋るように、瑛士さんの腕に触れたら、瑛士さんは優しく聞いてくる。  ――いつもと違う。すごく色っぽくて、熱っぽくて。  おひさまみたいな、瑛士さんの香りが鼻をくすぐると、なんだか体がより熱っぽくなって、力が抜ける。 「…………」  瑛士さんと触れ合った唇。ぺろ、と唇を舐めてみた。  ……触れてみたい、なんて……だめかな。  ドキドキしてると、瑛士さんがオレの下唇に指で触れた。少し、下に下げられる。 「触れて良いなら――舌、だして?」  くす、と優しく笑った瑛士さんに言われるがまま、舌を差し出すと、ぱく、と食いつかれた。 「ん、ん」  舌、熱い。思っていたよりも、熱くて、柔らかくて……なんか、舌、生きてるみたいに動く。 「んぅ、ぁ、……」  吸われて、涙が、じわりと滲む。  唾液が絡まって、流れてくる。こく、と飲んで……溢れると舐められる。 「え……じさ……ん、ン……」  気持ちいい。もうどうしよう……。 「……凛太、下、触るよ?」  ぼんやりしてたところに、そう言われた。少しして分かった瞬間、焦って、瑛士さんを見つめる。  瑛士さんの息、熱い。  ゾクッとした感覚が体の底から、背筋を通ってく。  いいのかな、そんなとこ、触らせて。  ……瑛士さんの、手に。  でも、熱くて熱くて、ちゃんと考えられないし、まともに言葉が出ない。  小さく頷くと、瑛士さんは、ふ、と微笑んでまたキスしてくれた。

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