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112.甘すぎて※

 瑛士さんの手がズボンの中に入って、熱くなってるオレのに、触れた。体がびく、と震えるのを抑えられない。   「……っ」  少し俯いて唇を噛みしめるけど、すぐに上向かされて、キスされる。  唇を舐められると、条件反射のように開いてしまった。すると、瑛士さんの舌がオレの舌に触れてきた。 「……ん、んん……っふ……」  他人の手で触れられるの、初めて。  ……もう、本当にいいのだろうか、瑛士さんの綺麗な手に、こんな風に触らせて、と思うのに、気持ちよすぎて何も言えない。頭が真っ白になっていくし。ずっとキスされてるから、ちゃんと喋れもしない。  口から洩れるのは、くぐもった喘ぎだけ。  瑛士さんの舌との間で、息をするのがやっと。 「……ふぁ、……っ」  瑛士さんの手は、自分でする時とは、まったく違っていた。  こんなのどう触っても同じなのではと思ってたけど、全然違う。  可愛がりたいって、言ってくれてた通り。  優しくて、甘い。 「いっかい、イこ。きついでしょ」 「あ、待っ、て……っや……っぁ」  強く擦られて刺激されて、たやすく瑛士さんの手の中で達してしまう。  一瞬正気が戻って、瑛士さんの手に……! 待って待って、とめちゃくちゃ焦るのだけれど。 「上手」  ちゅ、と頬にキスされて――涙で滲む視界に、瑛士さんの優しい顔が映ると、涙が勝手に零れる。 「……可愛いね、凛太」  涙を舐めとられて、ぎゅ、と瞳を閉じるけど、そのまま頬にキスされて、くすぐったい感覚が唇に近づいて、また重なる。  心の中、というのか、お腹の奥、というのか。  ずくん、と切なくて。なんだかもう、苦しいくらい。 「ん、ん、……ぅ、ん」  オレの出したので、余計滑りが良くなった感じで、手が余計激しい。  出しても収まらない熱を、恨めしく思う。  いつもなら出せばちょっとは落ちつくのに。  ……ていうか……瑛士さんが触ってる限り、収まらないんじゃ……?? 「……ん、ぁ……っ……あ、の」 「うん?」  オレが話しかけたいってことに気づいて、少しだけ唇を離してくれる。 「……瑛士さん、触ってると……あの……おさまらない、かも」 「んー? ……ああ。うん。いいよ。付き合うし」 「……っ? ……んン、あっ……」  そうじゃない、そういうことじゃない。離してって、ことで……。  ちょっと泣きたい気分になりながら首を振ると、じっと見つめられる。  視線が合うだけで、また体が熱くなっていくのがわかって、苦しくてたまらくなる。でも、同じだけ――体の中、幸せな、感覚もあって……。 「……ん、ん……瑛士さん……」  もうほんと……この人って……。 「……オレに……甘すぎ、ませんか……?」 「……うん。そうだね。自覚はある」  ちゅ、と頬にキスされる。  くすぐったくて、瞳を閉じて。 「……あんまり……頼りたく……ない、です」  息を顰めながらそう言うと、瑛士さんは手を止めて、またオレを見つめた。 「……どうして?」  ふ、とオレの頬に触れて、瑛士さんがオレを見つめてくる。  ……手を動かすのは止められてるけど。触れられてはいるから、なんかもう頭はくらくらするし。瑛士さんの甘い感じに、全部ドロドロに溶けそうなんだけど。 「……それに、慣れたく、ない……から……?」  多分、そういうことだと、思う。  ……今は居てくれるけど。居なくなった時、多分切ない。今までは、居なかったから。それが普通だったから、平気だったけど。  オレが頑張ってそう言うと、瑛士さんは、ん……と少しの間止まってから。 「慣れていいよ。オレがいることに」  ふ、と微笑んでそんな風に言うと、またキスされて、触れてる手が動く。   「……凛太、甘い匂いする」  匂いまで可愛い、と瑛士さんが唇の間で、笑う。  なんかそこからは、ますます激しくされて、しばらく、本当に何も考えられなくなった。  

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