120 / 139

114.ひつじ?

 瑛士さんがしてたみたいに。て思ったんだけど。  ……実際しようとしたら。よく、分からなくて。  どうしよう……と思ったけど。  ぱく。くわえてみた。  思ってた以上のなんだか、すごくいけないことをしてるような感覚に焦ったとき、これまた焦ったっぽい、瑛士さんに、ひきはがされてしまった。 「何してるの」  びっくりした顔をされて、え、と固まる。  ……だって。さっき、瑛士さんも、オレにいろいろしてくれてたし。さっき、すごく気持ちよくしてくれてたし。なめるなら出来そう、と思ったんだけど。 「だ……めでした??」  だって瑛士さんがしてたから……。  むぅ、と眉を顰めていると。瑛士さんは、はー、と大きな息をついた。 「無理しなくていいって言ってるよね」 「……無理じゃない、ですけど」  確かに、なんか、感じたことのない気持ちと、どうしたらいいかわからない感に、戸惑いはしたけど。  でも――。 「しちゃだめ、ですか?」 「――――……」  瑛士さんの脚の間に居るって、ほんと変な感じ。  ……こういうことするのって、結構な羞恥との戦いかもしれない……。さっきまではもう、浮かされてたから、できたけど。いまちょっと、意識がちゃんとしてるから。  ……でもそれでも。  したいんだけど。 「……ほんとにしたいの?」 「――はい」  うんうんうん、と頷いていると。  なんだか瑛士さんは、片手で額と目の辺りを押さえてしまった。 「だから……もうほんとに、厄介ていうか……」  聞こえる限りでは、なんだかそういうようなことをブツブツ言っている。  ……やっかい?? とは……?  聞こうかどうしようか迷ってると、瑛士さんがちら、とオレと視線を合わせた。 「……じゃあ少しだけね? 多分、凛太が少し、楽にはなるだろうから」 「…………」  αのそういう色々は、Ωのヒートを抑えてくれる、のは、なんとなく知ってはいる、けど。  その台詞に、また首を傾げてしまう。 「……なに? 不満そうだけど」  くす、と笑いながら、瑛士さんがオレの頬に触れる。 「オレの、ためじゃなくて……瑛士さんも、気持ちよくしたいだけ、ですけど」 「――――……」 「だって、オレばっかりじゃ、悪いです」  なんだかなんともいえない顔をして、瑛士さんがオレを見つめる。  脇に手が入って、ぐい、と持ち上げられて、かと思ったら、ぎゅう、と抱き締められてしまった。 「……ずっと、可愛いって思ってたけど」 「……?」 「ほんと、死ぬほど可愛いな、凛太」 「――瑛士さ……ん、う」  覆いかぶさるみたいにキスされて。  さっきから、覚えさせられた、キスのしかた。  瑛士さんの舌と絡めて、中に受け入れて、また吸われて――――……。  んん、と声が漏れる。唾液、飲み込んでると、すぐまた熱くなっていく。 「んふ、……」  キスされつくして、離されて――凛太? と呼ばれた。  力が抜けそうな指で、瑛士さんの背中に触れて、瞳を開けると。 「オレの、したいの?」  うんうん、と頷く。 「してもいいけど……全部いれなくていいよ」  また、うん、と頷く。 「瑛士さんがされたいこと……言ってください」 「――――……つか。もう無理……」  瑛士さんがなんだか、自分の額を拳でグリグリしてる。 「あのね、凛太」 「……?」 「――αの前にいるΩってさ」 「はい」 「……狼の前の羊みたいなものだからね?」  ――――……。  ひつじ……?  ……なんだかもう、キスでぽわぽわしてる頭の中に、なんだかほわほわしたまぁるいひつじが突然湧いてきたような。 「……え?」  瑛士さんは一体なにを……。 「――全然分かってないな……」  ずばりオレの中を言い当てて、それから、ふ、と笑ってるけど。  すぐに、ちゅ、と首筋にキスされた。びく、と体が震える。 「――ああもう……じゃあ少しだけね。そしたらオレに任せて。終わったら、何か食べようね」 「……はい」  ドキドキ。  瑛士さんが抱き締めてくれている腕を解いてくれたので、そっと下に移動。  ……そのあと、オレ、一応、頑張ったんだけど。  なんか、言われるままにしてる内に、瑛士さんの匂いに、なんだか頭、真っ白になっていって。よく分かんないうちに、溶けるみたいな感覚にされて。  なんだかほんとうに何もかも、分からないうちに、瑛士さんにまた組み敷かれてた。   (2025/8/23)    🐺のまえの……( ´∀` )笑 宣伝🩷 「推しは目の前の先輩です」という作品を 今日6時10分から、こちらにのせていきます。

ともだちにシェアしよう!