159 / 160
152.贅沢 微※
瑛士さんとキスすると、心の中も体の中も、ふわふわする。
唇が自分のものじゃないみたいな。
人と口、くっつけるとか。
瑛士さんと会うまで、したいと思ったこと、なかったのに。
瑛士さんとするのは、気持ちいい。
「……ん、ふ」
舌が触れてくると、声が少し漏れる。熱い手が、頬や首筋を滑る。
――なにもかも全部、本当に、気持ち、いい。
ふと、優しい音楽が流れてることに気づく。
綺麗な音楽を聴きながら、瑛士さんとキスするの。
……贅沢。
…………って、贅沢って、変かな。
でも。
そっと、目を開けてみると。
目を伏せていても分かる、整いすぎた強烈に美形な人と。
……何でキスしてるんだろ。
ふと、おかしくなってしまったその時。
ぱち、と目を開けた瑛士さんと目が合って、どき、と心臓が音を立てる。少し目を細められて、そのまま離れるかなと思ったら、なぜか急に瑛士さんに抱き込まれた。
「ん……っン……?」
熱が、舌を絡め取る。思考が、ふっと途切れる。
「……ふ……っ」
すっぽり包み込まれてるみたいな感じで抱き締められて、逃げ場のないまま、唇を奪われる。
「……っは……」
うまく息ができなくて、すこし角度を変えられる時に呼吸が漏れる。
すぐにまた塞がれて――なんだかもう、体から力が抜けていく。
体の奥が――じわ、と熱くなる。
……っわぁ、もう、瑛士さんが急に激しいキスするから……どうしよう、これ。
気づかれないように下だけ少し動いて、瑛士さんから離そうとしてみたら。
オレの腰に、急に瑛士さんの手が回って、逆に押し付けられてしまった。多分離れようとしたのがバレたのと。それから、押し付けられて瑛士さんのも反応してるのが分かった瞬間。
「~~~っ……!」
もう顔が熱くなりすぎて、咄嗟に離れたオレは、瑛士さんと見つめ合う。
瑛士さんは、オレを見下ろして、ふ、と微笑む。
「――どうする? 触る?」
「……っっ」
どうするって……っっ。
「このまま収まるの待つ? それでもいいよ」
言いながら頬に触れて、ちゅ、とキスをしてくる。なんかもう、敏感になりすぎてて――いつも頬にキスされもそんな風にはならないのに、指や唇が頬に触れるたびに、ビクッと体が震える。
オレが何も答えられずに、瑛士さんを見つめていると。
瑛士さんは綺麗な笑みをその唇に浮かべて、オレをまっすぐに見つめ返した。
「……触っても、いい?」
瑛士さんの声が、いつもよりすこし低くて。熱っぽい。
「……っ」
思わずじっとりと見上げながら。オレは。
……頷いて、しまった。……自分が、信じられない。そんなのが、我慢できないって、思うなんて。
「ふ。かわい……」
瑛士さんてば、満足そうに笑って、オレの頬をすり、と撫でてから、また唇を重ねてきた。舌に翻弄される間に、手がそこに触れてくる。
びく、と震えると、大丈夫、というかのように優しいキスが繰り返されて。
……それからは、瑛士さんに、全部、預けた。
◆◇◆
……そんなに長い時間じゃなかった。
でも、熱くて、恥ずかしいし。瑛士さんと一緒に達して終わった。
終わってからも、ぎゅうって抱き締められてキスされて――まあもうずっと全部通して、大変な時間ではあったけど。でも時間的には、ホットミルクがぬるくなっちゃったなぁと思う程度だった。いろいろ終わってから、もう一度、温め直すことにした。
瑛士さんは、いろいろついちゃった手を、洗いに行ってる。うぅ。なんか恥ずかしい。
鍋のミルクを見つめながら。
……ヒートじゃなくてもするんだ。
ていうか。オレ、思い切り、うんって言っちゃったしな。
それに、ヒートじゃないときにするのは、かなり恥ずかしいんだな、と知ってしまった。
まだ朦朧としてない内に始まるからなぁ。……最後の方はもう、よく分かんなくなっていたけど。
……って何考えてるんだもう。
顔が勝手に熱くなる。
ともだちにシェアしよう!

