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オマケ:薔薇色の寝室②
「うふふ…」
馮主任の広東料理店での夕食を終え、文維と煜瑾は、自宅である南京西路の嘉里中心内の高級レジデンスに戻った。明日は清明節の連休の最終日だ。明日は2人でゆっくり過ごす予定だが、今夜も充分楽しめるように文維が煜瑾のために軽いカクテルを作っていた。
「なんですか?急に思い出し笑いだなんて」
無邪気で屈託の無い煜瑾の含み笑いを、文維がからかった。手には煜瑾の好きな桃の香りのカクテルが入った、高級なボヘミアングラスが握られている。
「だって、馮さんの驚かれたお顔…今、思い出してもおかしくて…」
確かに、文維が煜瑾を抱き寄せ、口付け、どれほど本気で2人が愛し合っているかを見せつけた時、馮小父さんは大きな目が転がり落ちるのではないかと思うほど目を見張り、数秒間はあんぐりと口を開けたまま動かなくなった。
しばらくは目の前の「現実」を受け容れられなかった馮小父さんだったが、本当に生まれた時からの幼馴染である包伯言が、
「大丈夫。この2人は本物だよ」
と、断言すると、幼馴染の高い知性と品性に絶大な信頼を置いている馮達は、その一言に何もかもを得心した。
それ以降は、レストランでのサービスも最高のものとなり、小敏が、煜瑾はエビが好きだと申し出ると、海老餃子に始まり、次々と店の名物の海老料理が並び、ついには自分のおごりだと言って大きなロブスターの丸焼きが供された。
「あの海老には驚きましたね」
カクテルをテーブルに置いた文維も楽しそうに笑うと、煜瑾も大きく頷いた。2人はそのまま見つめ合い、互いの気持ちを感じ取っていた。
言葉は必要ではなかった。何も言わなくても、相手を想い合い、家族を慕い、人々から愛され、大切に思われている幸せを噛み締めていた。
「ぶん…い…」
気持ちの高ぶりのためか、長い睫毛に縁どられた、煜瑾の大きな黒い瞳が潤んでいた。それを何よりも美しいと、そして愛しいと思った文維は、それ以上煜瑾に何も言わせず、抱き寄せ、口付けた。
「あ…」
抱きすくめられ、煜瑾はそのままソファに押し倒されそうになる。
「ダメです…」
慌てて煜瑾は文維の厚い胸板を押し返した。
恥ずかしがりの煜瑾のいつも通りの反応に、文維は動じない。
「ダメじゃないですよ」
宥めるように煜瑾の白い頬に口付け、文維は先を続けようとする。
「ダメです。…だって…」
「だって?」
最後にはどうなるか、よく理解している経験豊富な文維は決して焦らない。
「だって、まだ文維のカクテルを飲んでいません」
なんとか見つけた煜瑾の言い訳を文維は一笑して、一度抱き締めた腕を解いた。そして腕を伸ばすと、ソファの横のローテーブルに乗ったグラスを手に取った。
「じゃあ、飲みましょうか」
文維は手にしたそのグラスを、煜瑾の口元に運び、戸惑いながらも煜瑾はそれをコクリとひと口飲んだ。
「どうですか?」
「ん、良い香りです。甘くて、美味しいです」
「じゃあ…」
ニヤリとした文維は、そのままキョトンとする煜瑾の顎を取り、そのまま桃の香りの残る唇を封じてしまった。
そのまま、からめとられるような激しい口付けに変わり、煜瑾は戸惑いながらも、愛されている喜びを感じていた。
「…もう、文維ったら…」
少しだけ息を弾ませ、非難するように煜瑾は大好きな人を睨みつけたが、睨まれた本人はそれに気付かないかのように笑っている。文維からは、美しい恋人の誘惑的な流し目にしか見えないからだ。
「じゃあ、続きは…寝室で」
清純な煜瑾の耳元に唇を寄せ、濃艶な囁きで文維が誘うと、煜瑾は可哀想なほど全身を真っ赤にして、俯いてしまった。
「私は、このソファの上の、明るい照明の下で、煜瑾の全てを見ながら愛し合うのもステキだと思うんですけど」
「文維!」
そんなに恥ずかしい提案を受け入れられない煜瑾は、慌てて天使の美貌を上げた。そんな煜瑾の表情を、文維は愛しそうに見守っている。
「もう…。からかわないでください」
拗ねた煜瑾を、もう一度文維はしっかりと抱き締めた。
「煜瑾が、可愛すぎるのがいけないのですよ」
文維の言葉に、どう返して良いのか分からない幼気 な煜瑾は、言葉に困って一言だけ呟いた。
「寝室に…、行きましょう」
もちろん煜瑾からの誘いを断る文維ではない。
2人は笑顔になり、子供のように無邪気な笑顔を浮かべ、手に手を取って寝室に消えた。
《おしまい》
ここからって感じのところで終ります(笑)
文維と煜瑾はホノボノCPなので~。
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