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第7話 逆転
すぐに体勢を建て直したカミュが俺を睨む。
「一体どういうおつもりで?」
俺の体は近くにあったヒモのようなものを手にして、カミュに近づく。
えっと、俺というかラルフは何をするつもりなんだ?
カミュももちろんわかっていない様子で、俺に警戒している。
「後ろをむけ」
「はい?」
「黙って後ろをむけ」
なんの説明もしないのに、頑なな俺にカミュはため息をついて後ろを向いた。
「後ろから刺したりしないでくださいね」
「手は後ろに回せ」
質問には答えず、命令だけする。
聞いてくれるかは一か八かだ。
「はぁ」
カミュは生返事をして、手を後ろで組んだ。
すかさず、俺の体がその手を固定する。
縛られたことにきづいたカミュが「本当に…、一体何をお考えなのですか」と力なく言った。
そこで不意に俺の体が自由になった。
え、こんなところで体を開け渡されても、俺は一体…
そう、数秒迷ったが、また組まれた彼の大きな手が目に入ると、腹の底がムラついた。
これ…、チャンスなのでは?
俺は首を傾げて立ち尽くすカミュの目の前に立つ。
「今解放してくださるならお遊びで許してあげますけど?」
そう言うカミュを無視して、俺は彼の下履きに手をかける。
「は!?ちょっ…、何してるんですか!?」
慌てるカミュのイチモツを取り出す。
当たり前にふにゃりとしていた。
口淫なんてしたことないけど…、散々カミュにされてきたし、なんとかなる!
俺は意を決してそれをつかむと、口をつけた。
「ラルフ様!?」
腰を引くカミュを逃すまいと奥まで咥え込む。
ふにゃふにゃの状態でこのデカさ…、大きくなったら咥えきれないかも。
と、心配しつつもこれなら、後孔に入れたら相当満足するのでは、と期待で俺のモノも立ち上がっていた。
「なんなんだよ、もう」
少しずつ高度を増すソレに、俺は得意になって彼の顔を見上げる。
一体どんな顔をしているのだろう?
カミュは冷たく俺を見下ろしていた。
まるで道端に落ちている死んだ害虫を見るような目で。
俺は一瞬怯みそうになるが、元々嫌われているのだから、どうにでもなれと口淫を続ける。
ようやく中に入れられそうな硬度になる頃には、カミュのペニスは俺の唾液でべちょべちょになり、俺の顎は疲れていた。
「んっ、カミュ、座って?」
俺はベッドの方にカミュを引っ張る。
カミュは動かない。
「カミュ…、お願いだから」
後ろからグイグイ押して、なんとかカミュをベットに座らせた。
まだ勃ってる。
「勃ってる」
思わず嬉々とした声が出た。
だって、こんなに嫌われているのに俺の口淫で勃たせることができたんだ。
「…、新しい付き人がダメだから俺を使うんですか?」
呆れたような冷めた声でカミュに問われる。
「逆だし。カミュが俺を抱いてくれないから、代わりを探した」
カミュから目を逸らす。
気持ちがないってわかっている人と交わるのって、結構メンタル的にきつい。
…、以前のカミュもこんな気持ちでラルフを抱いていたんだろうか?
いや…、まさかね。
カミュは別にラルフのことなんか好きじゃない。
「まったく…、俺がどんな気持ちで…」
カミュがボソリとなにか呟いている。
が、せっかく勃てたモノが萎えてしまったらもったいない。
俺も下履きを脱ごうとすると、立ち上がっていた俺のペニスが勢いよく下着から飛び出した。
その瞬間、カミュが短く吠えると、しばっていたヒモがぶちっと千切れた。
「え…?」
俺が固まっていると、カミュがため息をつく。
「騎士を舐めないでください。
あんな蜘蛛の糸みたいなヒモ、簡単に千切れます」
そう言って、今度は俺をベッドに引き倒した。
あ、やばい…、殺される!
「あ、ご、ごめんなさいっ
カミュ、殺さないで!なんでもする!」
俺が半泣きで命乞いをすると、カミュは「ラルフ様に何かされたところで俺に徳なんかないですから」と無慈悲に言い放った。
そりゃそうだ。
顔も見たくないだろう。
「ど、どうすれば…」
「殺しはしません。勿体無いので。
その代わり、俺がすること全部受けてください」
「は…、へ?」
意味がわからずぼんやりしていると、今度はカミュが自分の服についていた腰紐のようなものを取り出して俺を縛り上げる。
あまりの速さに抵抗することも忘れていた。
「手を縛るときはこうすると簡単には逃げられません。
それと、俺だから良かったですけど、ラルフ様の縛り方では関節を痛めます」
まさか元付き人から縛り方まで説教されるとは。
「ただでさえ何にもできない第二王子が、腕を縛られたらいよいよ何にもできませんね。
可哀想で可愛いですよ」
ん?
んん??
俺、めちゃくちゃ馬鹿にされている!?
「なにをっ、ひゃあっ!?」
文句を言おうとしたら、陰茎を握り込まれる。
誰かに触られるのは久々で、それだけで変な声が出てしまった。
「口淫の仕方も教えてあげます。
子猫が舐めているのかと思うくらいもどかしかったので」
「下手で悪かったな」
涙目でカミュを睨む。
「ああ、本当に…、ラルフ様は俺の加虐心を煽るのがお上手ですね。それだけは評価します」
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