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第15話 少しだけ、素直になる

「……ごめん」 境内の掃き掃除をしていた手を止めて、レンくんがぽつりと言った。 「あのとき、びっくりして。どうすればいいのか、わからなかったんだ」 顔は赤くて、でも目はまっすぐ。 「でもね、嫌だったわけじゃないよ」 その言葉だけで、胸の奥にあった霧が晴れていく気がした。 「……じゃあ、また話してもいい?」 俺の問いに、レンくんは小さくうなずいた。

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