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第23話 声が届かない夜

絵馬のことがあってから、レンくんは少しだけ距離を置くようになった。 「……あんなの、偶然だよ」 目をそらしながら、そんなことを言う彼。 俺が何かした? それとも―― 「レンくん」 呼んでも、返事が遅い。 繋がりかけた手は、指先だけで離れてしまった。 でも、夜の神社でふと見上げた空に、 あの日と同じ星が瞬いていて。 「……俺、本気で願ったんだよ」 そう呟いた声は、届いたかどうかもわからない。 でも、胸の奥はずっと、叫んでいた。

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