23 / 30
第23話 声が届かない夜
絵馬のことがあってから、レンくんは少しだけ距離を置くようになった。
「……あんなの、偶然だよ」
目をそらしながら、そんなことを言う彼。
俺が何かした? それとも――
「レンくん」
呼んでも、返事が遅い。
繋がりかけた手は、指先だけで離れてしまった。
でも、夜の神社でふと見上げた空に、
あの日と同じ星が瞬いていて。
「……俺、本気で願ったんだよ」
そう呟いた声は、届いたかどうかもわからない。
でも、胸の奥はずっと、叫んでいた。
ともだちにシェアしよう!

