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第24話 怖がりな願い

「ねえ……レンくん、どうして避けたの?」 神社の境内、いつもより静かな空気。 レンくんは少しだけ間をあけてから、口を開いた。 「昔、いたんだよ。僕に優しくしてくれた人が」 「でも……願っても、想っても、いなくなった」 それは、泣いてるような笑顔だった。 「だからまた、誰かと同じ気持ちになるのが、怖くて」 震える肩に、そっと手を伸ばした。 「大丈夫、俺はここにいるよ。逃げない」 指先に触れた体温が、ほんの少しだけ震えていた。

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