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第28話 変わらないふりの帰り道

「おはよう」 いつものように声をかけたのに、 レンくんの反応が、少しだけ遅れた。 「あ……お、おはよう」 頬がほんのり赤いのは、朝日だけのせいじゃない。 すれ違う友達に挨拶しながら、 昨夜のことを思い出してる自分がいた。 一緒にいた時間、 重ねた声、そっと触れた手。 「今日も、帰り……一緒に帰る?」 普通のようで、ちょっとだけ特別なその言葉。 隣に並んだ肩が、少しだけ近かった。

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