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第3話 ぬくもりの距離
夜の神社は、昼とは違う顔をしていた。
空気が澄んで、遠くの鈴の音さえよく響く。
境内の掃除を手伝った帰り道、
レンと並んで歩くのが、なんだか特別に思えた。
「……今日も、ありがとう」
「俺が勝手に来てるだけだよ」
肩がふれそうでふれない距離。
気づかれないように、そっと手を伸ばす。
けど――
レンが、先に俺の手をつかんできた。
「……やっぱ、寒いかも」
そう言いながらも、
握る手はすごくあったかくて。
「俺も、ちょっと冷えてた」
その言葉に、レンがくすっと笑った。
指先を重ねて歩くだけで、
息が少し弾んだ。
ぬくもりがあるって、
こんなに安心するものなんだな。
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