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第5話 季節が巡る前に
境内の落ち葉が、サクッと音を立てる。
レンが、ほうきを止めて空を見上げた。
「……あっという間に、暗くなるね」
夕暮れは、すぐに夜へ変わる季節。
境内の灯りが、ふたりの影を地面に映していた。
「これから、もっと寒くなるよ」
レンは、首元のマフラーを少しきゅっと巻き直す。
俺はそっと、ポケットの中のレンの手を握った。
「じゃあ、冬になる前に――もっとあったかくしとこ」
くすぐったそうに笑って、
レンが俺の肩に少しもたれかかる。
「……ねえ、今夜はもう少しだけ、一緒にいてもいい?」
その言葉に、俺はうなずいた。
夜風は冷たいけど、
ふたりのぬくもりが、じんわりとしみ込んでいく。
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