5 / 18

第5話 季節が巡る前に

境内の落ち葉が、サクッと音を立てる。 レンが、ほうきを止めて空を見上げた。 「……あっという間に、暗くなるね」 夕暮れは、すぐに夜へ変わる季節。 境内の灯りが、ふたりの影を地面に映していた。 「これから、もっと寒くなるよ」 レンは、首元のマフラーを少しきゅっと巻き直す。 俺はそっと、ポケットの中のレンの手を握った。 「じゃあ、冬になる前に――もっとあったかくしとこ」 くすぐったそうに笑って、 レンが俺の肩に少しもたれかかる。 「……ねえ、今夜はもう少しだけ、一緒にいてもいい?」 その言葉に、俺はうなずいた。 夜風は冷たいけど、 ふたりのぬくもりが、じんわりとしみ込んでいく。

ともだちにシェアしよう!