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第6話 はじめての、街で

待ち合わせは、駅前の時計台。 私服のレンがそこに立ってた。 「……あっ、悠馬」 神主装束じゃない姿。 白いニットにチェックのコート、 黒のマフラーを巻いた姿は、なんだか見慣れなくて―― でも、ちゃんと“レンくん”だった。 「……変じゃない、かな?」 少し袖を握る仕草が、可愛くて。 「似合ってるよ」 素直にそう言うと、レンはちょっとだけ顔を赤くした。 映画を観て、カフェで甘いものを食べて、 ショップのアクセサリーを一緒に眺めて。 「ねえ、これって――ペア?」 並んだシルバーリング。 指を伸ばしかけて、でもそっと引っ込めたレンの手を、 俺が自然に重ねた。 「買って、帰ろうか」 そう言ったら、嬉しそうに目を細めた。 帰り道。 電車のホームで、 レンがそっと、俺の袖を引いた。 「……今日は、ありがとう。すごく、楽しかった」 「俺も。……また行こうな」 電車のドアが開いても、しばらく動けなかった。

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