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第7話 白い息、ふたりの願い

「境内の灯籠、片付け終わったよ」 冷え込む夕方。 吐く息が白くなるたびに、 ああ、冬が来たんだなって思う。 「……手、冷たいでしょ」 レンが差し出した缶ココア。 温かくて、缶越しのぬくもりが心にしみる。 「ありがと。レンこそ、指かじかんでるじゃん」 「うん、ちょっと……」 そっと、レンの手を取った。 指先が少し震えていて、 俺はそのまま、レンの手を包み込むように握る。 境内の灯りがぽつり、ぽつりと灯っていく。 「……また、一緒に年を越せたらいいなって思ってた」 雪がちらりと舞い始めた空を、 レンが見上げて、そっと俺の肩にもたれた。 「ねぇ、来年も――俺のそばにいてくれる?」 白い息の中、俺は小さくうなずいた。 「もちろん。ずっと一緒にいるよ」 レンの頬が、缶ココアよりも赤くなった。

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