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第3話

 誰か、先約みたいなヤツらがいたら土屋は、間違いなく立ち去るはず。  いや…待って?  ドアから見えた書類やペットボトルで、生徒じゃない人がいることは、あれで分かるよな?  そんな中に入っていく生徒は、普通いない。  そう言うと好奇心で入っていった僕が、バカみたいだけど…  でもまぁ…仮に見つかったとしても、何サボってんだ? って言われるのがオチだよな…  ってあれは土屋自身が、サボる為の目に見えたトラップとか?  だいの大人が、そこまでするか疑問だけど…  「……………」う~~ん。  どこまでが本当か、分からないけど…  土屋の時間割調べてみると面白いかも?  土屋は、まぁ…カッコいいけど僕の嫌いな大人だし。  別にどうのこうのって、事もない担任で話したこともあんまりないけど、今での担任と違って僕に対す接し方が、少し冷めてるって言うか深く関わらないで放任してるっぽいんだよな。  目もとくに合わせたりしないし。  教壇に立って教科書を読み上げたり黒板に文字を書いて、真面目な顔をして真面目なこと言って…  たまにクラスメートの誰かが、言った冗談や笑い話しを聞いて反応してその生徒の話しに乗ったり相づちを打ったり。  そんなものだからクラスメートの受けも良くて信頼されているようだった。    …なんかそれが僕にとって、居心地が悪かった…  まぁ…僕は、これ以上あのクラスに馴れ合う気持ちはないから。  可も不可もないこの距離感で、良いんだよって思っている所だった。  そんな時に見つけたのが、サボってる風に居眠りする土屋。  そして、知られたくなさそうな傷跡。  急に面白くなってきた。  クラスに戻った僕の顔を見たクラスメート達が、ニコニコした僕の顔をみて驚いていた。  「朝陽。どうした?」  「何が?」  「なんか、良いことでもあったのかなって?」  「えっ、何もないよ」  誰にも、教えない。  誰が、教えるか…  「ホント、何もないって…」  「ホントに?」  「ホント。ホント!」  ウゼーっ、なぁ…  「なぁ…藍田が、ニヤニヤしてるときって、悪巧みの真っ最中かヤってる最中って噂で、聞くけどマジ?…」  「何それ? 言っとくけど僕そこまで、変態じゃないよ」  当たってると言えば、当たってる気もするけど…  僕って、相当加減な人らしいから。  人との付き合いとか不純混じりで、そう言うのも深く考えてない。  一々、気持ちいいことに理屈とか、そんなの並べても全然面白くもない。  それでも最近は色々、考えなくちゃならないのかなぁ…って、漠然と思うこともあるんだ。  無抵抗にすればするほど、手をあげられる。  殴られるのは、痛い。  助けてくれない事が、コワイ  『無視すんなよ。いい加減にしろよ!』  「藍田? どうしたん? コエー顔して」  「…何でも…」  多分。無意識に憂鬱になっているんだろうな…  身体を押さえ付けるようにように、机に座り込んで僕は、精いっぱいの笑顔を作る。  もう直ぐ次の授業が、始まるからだ。

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