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第4話

 誰かの気配を感じたのは、近づいて来ていた人影が、部屋から出て行ったから…  ここ数カ月、水曜日の午後は、この教材置き場を借りて調べもの次いでに仕事を片付ける事が、俺の中で習慣化していた。  元々この時間帯は、空き時間で溜まった仕事を職員室で地味に片付けていた。  その日も、職員室しで仕事を片付けようとしていたが、たまたま教材置き場ばから今日中に教材の資料を取りに行って欲しいと、頼まれたことが発端だった。  シーンとしたその部屋は、ドコか異様で隔離された空間に似ていたから居心地が良かった。  こう言うと不謹慎だが、見つかるか? 見つからないかと、常に誰かの気配に怯えて、身を潜めていた頃の自分が、まるでそこに居るような感覚だった。  それから何度か、その場を訪れる内に…  どうせならと、調べながら昼食を食べることにした。    今にして思えば、それも何か過去の自分に重なったのかも知れない。  とは言え冷暖房完備。  日当たりも3階と言うこともあってか悪くない。  生徒もサボり等の部屋として使っているとは、噂に聞いていたが、確かに快適と言えば思いの外、快適なのかもしれない。  あらかたの仕事が片付いて、時計を見ると昼休みも、終わりに近づき予鈴の鳴る頃だった。    職員室での遣り取りがない分。  時間が、余った。  午後イチは、毎週空き時間。  何をする?  やる事が無いとは、他の同僚の前では言えないが、することがなかった。  そんな事を、思いながらボンヤリしていると不意に眠気が襲ってきた。  眠気覚ましにお茶を飲むも…  眠気は、無くならない。  こんな状態を繰り返して今を乗り切った所で、次の授業に支障をきたしたらと保身した結果、昼寝することを選んだ。    ただ1つ寝ると言っても、ドアから丸見えのこの机では、生徒や同僚に見付かりやすくあまり良いとは言えない。  夏場なら奥に下がって棚の影とか?  秋口に差し掛かる今でも、時期的には同じか?  そんなくだらない事を、本気で考えながら机から少し離れた壁際で寝入ってしまったが、誰かが、居たような気がして目が覚めた。  身を起こし何気に、室内を見渡す。    「気のせいか?…」  確かこの時間帯だと、授業を受け持っていない同僚もいるが、居ないかからと言っても…  各教科の教員スペースにいる場合も多いはずだ。  1人いないからと、わざわざ探しにい3号棟まで出向くヤツらはいないだろう。    それなら生徒? 「………………」  居眠りしてる教師を、見付けて何も言わないで立ち去るか?  まぁ…生徒が、この時間帯ここにいるってことは、授業をサボって居るってわけだしバレたくはないかもな…  フーッと息を吐きだし緩めていたシャツと、ネクタイを締め直す。  不意に首筋が、気になった。  誰かの指の感触が、目が覚める寸前微かに感じられたからだ。

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