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第5話

 首元に広がる赤い痣のようや傷跡…  見られたらマズイ認識はあるが、そこまでヤバイものではない同僚達は、皆察している。  これは簡単に言えば、火傷の痕だ。  まぁ…色々あっての痕。  そう言えば、この火傷痕を負った事故の直後、ヤツは…  ギャーッ、ギャーッ、泣き叫んでたな…  俺は、動けなかったから。  うっせぇーなぁ…ぐらいにしか思えなくて床にぶっ倒れたまま痛みで動けなくてていて…  担任やら他の生徒やら大勢に取り囲まれて、ストレッチャーだか救急車に乗せられた記憶しか残ってない。  うっすら。  そう…  うっすら。  ぼんやり覚えているのは、いつもニヤ付いた顔したフワフワしたヤツの顔が、今まで見たことないぐらいに泣いた…  そんなぐらいしか、覚えていない。  入院中ヤツが、初めて見舞いに来た時の号泣には、怪我人の俺の方が引いたぐらいだ。  あの綺麗な顔が、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだとか…笑える光景だったとか、今のアイツに言ったらどつかれるな…  俺は、その事故後一年休学し転校して卒業した。  ヤツとは、腐れ縁で未だに会う事もあるが……  …で、ヤツは、今…ドコに居るんだっけ?    恋人と外国にいるのは、間違いないはずだ。  そう言えば、何日前に連絡きてたな…  相変わらずな文面と絵文字にスタンプ。  今カレとのツーショットのニャニャした顔の写真も、送られてきていたはず…  まぁ…これは、互いに向けての…一種の生存確認ってところか?  スマホをタップし送られてきたままになっていた写真を改めて眺めた。    自己主張が強くてワガママでマイペース。こっちの話しなんざ全然、聞いちゃいないのに指摘されると腹を立てる。    そうだ。    あの生徒に似てる。  学校1の問題児、藍田 朝陽。  見る度にヘラヘラ、フワフワと笑う。  クラスの連中の事なんって、何とも思っていない。  おそらく、その他大勢として区分しているんだろう。  注意深く観察していると、本音を言わずに笑ってるだけ藍田の方が、ヤツよりはましに見えたが、俺からすれば、2人は同等だ。  ヤツは自分以外の誰か、仲間や友達を作るのは、平穏な生活を送るための道具だからと平然と俺に言い放った。  さすがにヤツの行動は、異常と思い。  距離を置こうとした日から急に俺を、お気に入りにする! とか言い出して俺の側を陣取り逆に距離が、縮まってしまった。

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