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第7話

 それはそうとして。  今の問題は、藍田だ。  俺は、残りの時間を気にしつつイスに座る。  学校の成績は、かなり優秀。  書類上で藍田を、初めて見た印象が、そうだったが、数々の問題行動は、書類上でも荒れていた…  「顔が良いから。人気だけは、あるんですよね」  「何って言うか、藍田の恋愛対象は、ドチラでもあるらしくて…同性と付き合ってる噂も、女子とも、それなりに付き合ったりしているとか…なんとか?」  そう言えば、噂で…  二年の男子と三学年の女子が、藍田の事で凄い言い争いをしてたと、聞いた事があるような…  「あぁ…そんな事もありましたね。いつでしたっけ?」  「1年の最初の方だったかと…」  「アレですよ。昼休みに騒ぎを起こして…双方の友人達が、止めに入ったってやつですよ…」  「俺ら教員からすれば、考えも行動も子供なんですけどね。本当に隙を突くように、悪さをするみたいな生徒ですね」  俺の前に居た担任と一年の担任は、ソレで精神的に追い詰められたと自ら学校を辞めたと聞かされた。  初代担任は、知らないが…  前担任なら知ってる。  俺が、そのサポートを半年程していたからだ。  一年の時の前担任が、年明け早々に辞めたために急遽祭り上げられ…  そのまま二年の今に至る。  なぜ、年明けなのかと言うと、年末から年明けに掛けて藍田が、家に帰ってこない。  連絡がつかないと言う騒ぎを、起こしたからだ。  見付かったと言うか、戻ってきたのは、明日から学校が始まるとされた冬休み最終日。  前担任は、その頃胃をやられた挙げ句不眠症で入院。  そのまま自宅静養となり辞めていったというわけだ。  俺はその繋ぎとなったが、先に言ったように担任へと祭り上げられた。  それからまた直ぐに藍田が、複数人と同時に付き合っている事が発覚し学年をまたいで、大修羅場になりかけた。  まぁ…その時は、あの藍田だからと言う理由で、だらけるように沈静化したが、これで懲りないのが藍田だ。  まるで、他人事のようにキッパリと付き合いを止め鳴りを潜めたかのように思えたが、二~三週間後に同学年の男子生徒との暴力事件と言うか、付き合う。付き合わない。  ヤたヤらないの騒ぎを、校内で起こした。  それが、今年の二月頃の話で…  まぁ…歴代の担任よりは、もっている方だとは思っているが…  俺が、こう言う騒ぎに慣れてるとは、口が裂けても言えない。  藍田も、ヤツも似た人種と言うことに違いないが、他の誰よりも藍田の方が、行動が読めない。  その分、藍田を慎重に見ている大人に対して警戒心剥き出しで信用していないとばかりに、近寄ってもこない。  で、近寄ってくんなと、荒ぶりながら意思表示をしてくる。  おそらく。  歴代の担任達が、失敗したのはそこだろう。  無理に心を開かせようとして痛い目に、あったと言うところだ。  こちらに振り返りもしないヤツが、言うことなんって聞く分けねぇーだろに…  だから俺は、藍田に対して声も掛けないし気も掛けていない。  ましてや心を…なんって、小難しいこともしていない。  その他大勢の扱いで十分だ。  確かに藍田によって引き起こされた事件事故に対して、大人なら身の保身にはしりたいのは、よく分かる。  こう言うタイプは、周りを巻き込みやすいから逆らうよりも、その周りごと流せれてしまった方が、被害も少なく済む場合が多い。  ヤツに関することが、そうだったように…  ただあの時は、ヤツも俺も、周囲も、全てが、あの場から逃げたが、一番合っている。  チクリと火傷跡が、痛んだ。  思わず首筋に手を当てる。  まぁ…  そうやって、一部だけ納得し知らない所は、知らぬままでいいと、納得させて終わらせたと思うようにしている。  それは今でも、変わらない。

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