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第19話

 問題児のオレが、いつ誰にやられたとか、説明すんもの面倒だし親に殴られましたとか問題になっても親(母親は)問題行動をとるオレが全部悪いとか、躾だとか言うに決まってる。  いつだってそうだ。  冬休みの時だって、年末年始親父親が帰って来ないことを伝え知った母親が、浮気相手と過ごしたいからってオレが邪魔になるからって追い出したんだ。  それで、父親が急に本社の会議に出るからって戻ってくることになってさぁ…  浮気相手と右往左往した挙げ句、帰ってもらって一息ついた所に親父が、終電ギリギリで帰って来る。  自宅には母親だけ…    『息子は、こんな時間までどこに行っているんだ?』となったらしい。  母親は、自分の浮気がバレたくなくて保身の為にオレが自ら家出したと答えた。  まぁ…  『冬休みが終わるまで帰ってくんな! 連絡もしてくんな!』で、『浮気の事…父親にバラしたら。アンタが、気持ちの悪いバイだって…あの堅物に話すから。そしたら大学にも行けないでしょ? 下手したら高校も退学させられるかもよ?』と、家を放り出されたのは本当だ。  オレは、母親の二つ目の番号を知らされてないし一台目からは、着拒されてるみたいだった。  父と母の遣り取り後、父親から凄い勢いで着信があったみたいだけど…  ずっと、無視してた。  母親は、父親をずっと堅物だと言っているけど…  オレが、バイだって事に勘づいていると思う。  だって、親父の愛人は会社の同僚で男だと思うから。  母親の言う通り。  オレと父親は、よく似ているんだ。  冬休みの騒ぎ後、父親が休みを取って一日家に居たことがあった。  母親は、友達とショッピングに行くとか朝早く出て行ったきりで…  その時、親父のスマホが鳴った。  通知バーには男名前があって…  父親は、ちょっと外で掛け直すからとベランダに出て行った…  その時の表情が、かなり和らいだ優しい顔してて…  レースのカーテン越しだったけど、見たことないぐらい楽しそうって他人事みたいに思えたんだ。  だって…いくら同僚って言っても、そんな恋人にするみたいな顔するなんって…  腑に落ちたと言うか、あぁ…そ言うことかって、同じ思考を持つオレの勘ってやつだけど…  何って言うか、そのとき妙な気分になった。  母親は、ほっとくとして…    親父は、そっちに行きたいんだなって…  ここには無い安心とか、穏やかな日常を向こうでなら叶えられているんだって…  ベランダから戻ってきた親父にオレは、『羨ましい』と、思わず言ってしまった。  『オヤジが、いいなら良いんじゃねぇ?』と、突き放すみたいに続けて言った。  『あのババアだって、同じだし行きたいとこに帰れば良いんじゃん…』  『…朝陽?』  『オレの事は、気にしなくてもいいから…連絡もしてくれなくて良いよ。高校は、こんなんだから卒業できるか分かんねぇけど…できそうにない時は、連絡するから…』  なんかのドラマみたいに西日なんって差し込んて…  お互いに分かったふうになってさぁ…  『本当にすまないな…俺達のことで…』何ってお決まりなセリフまで付いてきた。  オレも、『…もう良いよ…』何ってガラにもないこと言ったりしたけど…  それ以降、父親とは言葉を交わしてない。  無責任に思われかも知れないけど、それがバラバラな家族の在り方なのかな?

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