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第23話

 藍田 朝陽   四月生まれの十七歳。  見た目だけなら品行方正。  それなりに万人受けする容姿。  よくサボり気味だと他の先生達から指摘されるが、成績はそれなりに優秀。  スポーツも、陸上、球技なんでそつなくこなす。  華やかな見た目からか、校内でも男女問わず人気があり。  よく告られているらしい。  二〜三ヶ月前は、一学年の主任とサッカー部の顧問から部の一年が、かなり頻度で藍田に付き合って欲しいと追い回している事が、発覚し厳重注意となった。  四ヶ月前にも、三学年の女子が、執拗な付きまといや待ち伏せと言った同様の事案をやらかし三年の中途半端な時期に転校していった。  本人の居る二学年も、例外ではない。  他のクラスの男子が、話しすら聞いてくれないことに逆上して、使ってない空き教室に藍田を、無理矢理連れ込み既成事実的な行為を画策したらしいが、盛ってるバカな男子生徒は、相手も自分と同じ男だと言う事を忘れていたのか、逆にボコボコにされた。  そして藍田が、自ら通り掛かった先生に助けを求めたとか…  土屋も担任として、その場に行ったが…  相手生徒は、半裸でフルボコ状態。  一方の被害者でもある藍田は、制服が破られて見た目が、少々乱れている程度だった。     それでも唇からなのか、口の中からなのか、口元から左頬に血が流れていて殴られた痕が、薄っすらと残っていた。  今回の傷痕と被る場所だ。  そんな話しと言うのもあり双方の両親も学校側も、穏便にと…  手を打ったが、相手の生徒が自主退学を望んだことは、ある意味懸命な選択だったと言える。  ただ藍田の凄い所は、制服が破かれたこともあり次の日から新しい制服がくるまでの間ジャージ登校で、平然と学校に来ていた事だ。  周囲はザワついていが、等の本人は何食わぬ顔で、サボりも若干見られたが、授業を受け続けていた。  冷めていると言うか、感情が全く読めない。  その事件が、約半年前の夏休み直前の出来事だった。  夏休みが終わりに近付いてきた頃、出張帰りの土屋の中で、それが大きな進展を見せた。

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