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第24話

 その日、土屋は、車ではなく電車で隣県で開かれた勉強会を終え夕方近くに自宅のある最寄り駅に着いた。  このまま家に帰っても、夕飯を作る気力も無いに等しく。  自宅方面に向かうバスを待っていた時…  例の自主退学をした元生徒と偶然、出くわしたのだった。  気づいた時点で気まずさが、若干流れたりもしたが、そこまで重く考えず軽く土屋は、元気か? とだけ言い放った。  するとその元生徒は、立ち止まり顔を上げた。  「あの…」  「……ん?……」  「先生は、まだ。あの学校に?」  「…あぁ…アイツの担任だよ」  「…そう…ですか…」  隠すことなく嫌な顔をされた土屋だが、それもそうだとその微かな顔の動きに同情した。  「あのアイツは…」  大通りの人波に逆らいながら互いの口から出掛かった話しの内容を考えると、近くの人気の無い公園に移ることに事にした。  「土屋先生…言い訳になるかもだけど、オレ、アイツとヤるのアレが、初めてじゃ…なんです…」  思わず初耳だと、土屋は顔を上げた。  「あの時は、言い訳すんのも面倒で…一方的にオレが、襲ったみたいな収まり方だったから…」  おそらく自分の仕出かした件が、口を噤ませたのだろうと耳を傾けた。  「合意の上 ってやつだったし…」  「…そうだったのか…」  「はい。でも最初からアイツは、お互い恋人にはならない。絶対に相手の気持ちは、求めないって条件出されてて…」  いわゆるそれは、セフレ扱いと言うやつのかと土屋は、随分とヤバいヤツの担任していると、まるで何も知らない他人事とように改めて思った。

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