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第38話

 何か思い入れがあるのかと思って居たけど、それとはまた別なな何かを感じ取った。  聞いてみたいけど、聞ける気がしないし聞いちゃいけない気がしたから…  「…じゃオレ…買ってきた本読むね」と、部屋に戻った。  本は読みたいけど…  オレが、なんで学校に居たとか土屋は聞かないんだぁ〜なって、ぼんやり思ってた。    急に淋しくなったからとか…  小さいガキじゃあるまいし。  久し振りの学校って空間は、大き建物で見上げていたら不安になった。  子供として守られてきた学校なのにしばらく来なかっただけで…  なんだか…  怖い場所に思えて…  ここに居ないオレは、周りからどんなふうに見えているのか…  もうそこまで幼くもないから自分で考えろ突き放されれば、それに従うしかない。  土屋達だって…  オレを突き放せば、それで済むのに…  でも結果的に突き放されたらオレには、行く場所がない…  前みたいにマッチングして、セフレ作って相手の家を転々とするは、多分。難しくないと思う。  今までそうしてきたみたいに、戻ればいいだけだけど…それだと、何も変わらないしそう言う事はもうしたくない。  悩みながら。  色々考えていたら放課後を告げるチャイムが鳴って、いつもの癖で物陰に隠れてしまった。  裏門から帰る生徒も居るし部活で、ココを使う顧問の先生だったり部員も姿を遠目で見えて勢いで、茂みと言うか、植え込みの後ろに隠れてしまった。  背中丸めて落ち葉の地面に座り込んで一時間か二時間か…  体育館の方からは、室内灯の明りがもれはじめ…  グラウンドの照明設備もつき始めた。  もうそんな時間なんだ。  次第に帰る生徒もまばらになって…  人の気配がして隠れながら見ると先生達が帰りに始める頃になったらしく…  駐車場を眺めたら土屋の車があるのが見えた時に…  土屋が歩いてくるのが見えて…  ホッとしたけど、周りが異様に薄暗くて怖くなった。  母親に殴られた時みたいに静かで、黙って小さくなっている自分の鼓動が、やけに大きく聞こえてくるのが我慢できなくなって…  土屋に連絡を入れてしまった。  鬱陶しいかもしれないし…  今頃なんだよ? って思われるかもしれないって思ったら。  泣きそうになっけど、土屋の声を聞いたら植え込みから飛び出していた。  どんな顔していたのか、自分では分からないけど…     『一緒に帰るぞ』って言われて嬉しかった。  もしかしたら土屋は、一緒に居てくれるかもしれないって…  安易だって言われても、おかしくはない。  それでも、ほんの少しの間でもと…考えてしまう。  いや。分かってるよ。  土屋がオレに向けている感情が、同情とか生徒だからで余計な気持ちはないって…  助けた手前、突き放せれなくなった。  それでも土屋は誰よりも、オレの意思を尊重してくれている。  それも嬉しい事の一つ。  なのに…  なんか、嬉しいだけの存在とか、そう言うのじゃなくて…  ずっとモヤモヤしてる。  おそらく今まで、大人から優しくされた記憶がないから。  気持ちとか、バグっているのかもしれない。  大人は、信じれない。  その思いと、土屋なら信じられるんじゃないかって…  色ボケの母親みたいに、寄生しないと生きていけないみたいな…  そんな感じになりつつある…  真面目にバイトでも探すかなぁ?  でもアレって、うちの学校は許可が欲しかったよな?  担任とかの…  土屋許可してくれるかなぁ?  許可してくれなそう…  まだ怪我が治ってないし…  家のゴタゴタが解決するまで、ダメだって言ってきそう…  土屋って、真面目で生徒にも人気があるし。   意外と話してみると、楽なんだよな…  もっと色々な事、話したい。  自分の事とか…  後…土屋のこと知りたい。  「………………」 う〜ん…    そんな事、土屋に言ったら間違いなくオレを警戒するよな…  ってか、何で一人でうだうだ考えていてモヤモヤしてるんだよ。  クラスメイトの恋バナじゃあるまいし…  「…コイ…」  オレが、土屋に?  同い年でも、年下でも…  大学生でもなく?  十歳も違う大人なのに?  まさか…  オレが、そんな年の差が開いた大人を好きなるとか、あり得ないしと押黙るみたいに出掛ける言葉を飲み込む。  「…………」あり得ない!!  色々と気に掛けてくれる人の一人と言い聞かせた。

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