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第39話

 そう言えばと藍田は、フト…  土屋が、家でもハイネックや深目のパーカー着ている事に気が付いた。    触れたくなさそうだから背中と首元の火傷の跡には、触れずにここまできたが……    自分が目をしました時、一瞬でもギョッとした顔をしたからだろうかと藍田は、申し訳ない気持ちになっていた。  肩身を小さくさせる方は、あきらかに自分だ。  土屋ではないと、言ってみようかとも考えたが…    思わず何を…? と首を傾げてしまった。  巻き込んで、これだけ迷惑を掛けている分際で、それこそ余計なお世話になると自問自答していた。  コンコンッ  部屋のドアがノックされた。  「藍田? 起きてるよな?」  「あっ…うん!」  「風呂が沸いた先に入れよ」  「土屋…先に入れば?」  「先にシャワーで済ませたから。お前は、ゆっくり入れ」  「あっ…は…はい!」声は、裏返りはしなかったが、変な発音になったかもしれない。  その証拠にと言うのかドア越しの土屋が、少し笑っていたような気がしたからだ。  慌てて着替えやらを手に持ってお風呂場に駆け込んだ。  浴槽に浸かって、立ち昇る湯気を見ながらまたボンヤリと考え込む。  自分の居場所は、ドコなんだろうか? 誰も何も言わないからか、余計にどうしていいのか、分からないのもまた事実だった。    肩までお湯にとっぷりと浸かって、息を吐き出す。  こうやってノンビリお風呂に入るのは、初めてかもしれないと藍田は、大きく背伸びをした。  家では、ササッと済ませろ。  セフレ相手だと…  まぁ…それなりに気を使う。別の意味で時間係るしと、一瞬投げやりな感覚なる。  「………………」  元々、長湯なんって習慣のない藍田には、何となく温まればいい手早く頭や身体を洗いそのまま風呂から上がるのはいつものことだった。  けど、一つだけ変わった事があった。  頭をドライヤーで乾かすと言うこと…  いつもドライ乾燥でタオルで拭くみたいな仕草でリビングに行くと、風邪を引くからドライヤーで乾かせと、土屋に注意をされた。    洗面台の引き出しからドライヤーを手渡されたけど…  「どうした?」  何となく使い方は、知っていたが…  「コンセントにさせば、いいんだっけ?」  土屋の表情が固まったと同時に腕を掴まれリビングのソファーに座らされ藍田の後ろに立つと、ブワッとした温風で髪を乾かしてくれた。  こそばゆいような…  くすぐったいような…  思わず藍田ほ、ドキッとしてしまった。  「ほら。乾いたろ?」  優しい笑みを浮かべて見下す土屋に対してドクンとなり藍田は戸惑い下を向いた。  気不味い。  顔を上げられなくなり。  フト、リビングのテーブルを見ると自分のスマホが置いたままになっていた事に気が付いた。  気を取り直しスマホを持つふりをして、チラッて土屋を眺めた事があった。  そこでも重苦しい訳じゃないなが、今まで感じた事がない感情と言うか、チクチクするトゲのような何かが自分の中にあるような…  複雑にしているのは自分だ。  藍田は、鏡の前で髪を乾かすとテレビの音源が流れてくるリビングの扉を開けた。  「あっ…」藍田は、小さく聞き取れないような声を出した。  ダイニングテーブルの上に上着を置きイスに座りTシャツ袖を肩まで捲り肘まで拡がる火傷の跡に薬を塗り込んでいた土屋と目が合った。

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