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第50話 絶頂

 何だろうこれは?この快感。 龍一と繋がっている。頭の中が弾ける、溶け出す、身体ごと、全部。  抽挿が感度を上げる。 「ああ、何もかも愛してる! みんな大好き。みんな許す!」 キスで口を塞がれる。耳元で 「貴也は私だけだよ。愛してるって。」 ああ、こんなに愛しい男。俺の男。  射精の瞬間の多幸感。 「あ、ああ、龍一だけ愛してる。」 貫かれて、気持ちのいい中を抉ってもっと奥に入ろうとする。S状結腸に当たるのか?  イメージだけでイキそうになる。後ろの気持ちよさか?中の絶頂感か?身体中が蕩け出す。  もう勃起はさほどでなく、腹の中の感覚が頭を狂わせる。何度も繰り返す射精感。 「あ、おかしくなる。」 うつ伏せに貫かれて腰を掴まれて、容赦ない快楽の嵐。 「貴也の膝が邪魔だな。」 抽挿の合間に抜かれて向きを変えられる。  腰を掴まれて後ろからまた、奥まで蹂躙される。片手でペニスを掴まれて握られたその手に力なく射精した。ビクビク震える腰の結合部位。 「凄く締め付ける。私もイクよ。 貴也、気持ちいいよ。そんなに締め付けないで。 おまえに全部注ぎ込むよ。」  ガクガクと腰を震わせて龍一が射精した。 奥に当たる感じがたまらない。  この男とは、もう離れられない、と一瞬で観念した。お互いに絶頂を迎えて抱きしめ合い、まだ離れられないでいる。 「貴也の中に私が全部入ってるよ。繋がってる。 ずっとこうしていたい。」 (いやな奴だったら死ぬほど気持ち悪い言葉も、龍一なら嬉しいんだ。)  俺は子供の時のトラウマを思い出していた。 イタズラされたこと。心に蓋をして忘れたつもりになっていた事。  男が怖い。おぞましい、と思っているのに男にいたぶられたい。蹂躙されたい。  龍一になら治してもらえるかもしれない。 心の傷。幼い頃汚された身体をずっと乱暴に扱って来た。自暴自棄になっていた。  マトモな結婚なんか出来ない心と身体になってしまった、と思い込んでいた。  もっと汚して!もっといじめて!そんな気持ちでしかセックスが出来なかった。  愛してる、なんてきれいごとだと思っていた。

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