61 / 179

第61話 男の全てを欲しがるなんて

「あうっ、ああ、龍一、もうダメだ。」 龍一に貫かれて、その手を緩めてくれない。 龍一は笑って抽挿してくる。 「いじめっ子の顔だ。」 「はは、可愛いんだよ。」 龍一はこんな男が可愛いと言う。 「笑いながら攻める酷い男だ。」 腰を抱き寄せて挿入が深くなる。 「あっ、ダメっ。」 「苦しくないか。繋がってるよ。離れない。 お前が離さないんだ。締めて来る。」 肩に顔を埋めて耳元で囁く龍一の声、にもう限界だ、と感じる。ああ、落ちる。  腰を掴んだ龍一の手に力が入る。その一点で繋がっている。 「龍一、俺、気持ち良すぎて、もうダメだ。」 何回もイカされて、意識が朦朧とする。 「おっと、貴也、私もイクよ。 おまえの中にたくさん出すよ。」 今日はゴムをつけてない。生で注ぎ込まれる快感。放ったものが奥に当たる気がする。  すごく敏感になっている。 「中で締まる。ああ、すごくいい。」 ガクガク腰を震わせて龍一が果てた。 「ああ、貴也、愛してるよ。」 本気の声で言う。 「龍一、すごい。」 腰を打ち付けられるたびに、感じる所を攻められる。もう腰が震えて止まらない。 「あっ、あっ、あああ。」 後ろから抱かれて力を抜いた龍一がのしかかる。 抱きしめられて半勃ちのペニスを握られる。  もう何も出そうにない。龍一に掴まれているのが気持ちいい。 「好きだよ。愛してる。」 息の荒い龍一の声が耳をくすぐる。 「俺も愛してる。」 こうしていると世界中の全てを愛せるような気がして来る。 (これが本当のギフテッドだ。 この快感が神の贈り物、だ。) アキラに教えてやりたかった、と貴也は思う。  もう何回、龍一としただろう。何回もイカされた。快楽を分け合う。  こうして愛が深くなる。男女の普通の夫婦もそうなんだろうか。どうしても女に興味が持てない。女体に、と言おうか。  昔何かで読んだ言葉。広告だったか。 『人は柔らかいものが好きだから、 男は女を求める。女は毛皮を欲しがる。』  それを読んでなるほど、と感心したのを覚えている。ハリウッド女優がゴージャスな毛皮をまとった写真だった。毛皮の元の持ち主(動物)には気の毒だが、言い得て妙だ。  柔らかいのなら、俺は生きてる猫がいい。

ともだちにシェアしよう!