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第85話 帰還 2

「ニュースで、あのクロード・レイがシオンと日本に来てるって。」  シオンの参加したミラノコレクションは大成功だった。いよいよ、世界のクロード・レイに見出されたシオン。名実ともに、世界のシオン、となって日本のファッション業界を席巻している。  クロードと結婚式を挙げる、と話題になった。 LGBTQの先駆者として、話題をさらっている。  テレビ番組の中で 「お二人は愛し合っているのですか? 男同士だと言うことに抵抗はないんですか?」 クロード・レイはそれに答えて 「結婚式のドレスをデザインしたんだよ。 シオンにそれを着せたいのさ。」 クロードの照れのようだった。  そばにいて、何も喋らず、その瞳でカメラを見つめてくるシオンは、ますます謎めいて魅力的だった。マスコミはこのゲイカップルに興味津々だった。 カフェ『暖家』でもシオンの話題で持ちきりだった。実物を見た女子高生が、噂を広げている。 「ここに来たのよ。すごくきれいだった。 でもクロードとは似合わないわよ。  シオンは身長186cmでしょ。 あのデザイナーは180cmあるかないか、 くらいでしょ。かっこ悪いよ。」 「クロード・レイって、デザインは素敵だけど、 本人はイケてない。」 「クロード・レイの新作バッグすごくいいよ。」 「欲しいなぁ。」 「ここに来た時、一緒だった男の人、恋人っぽかった。あの人ならお似合いなのに。  多分188cmは、あったね。すごいイケ、だった。芸能人じゃないな。」 (ふん、彼は医者だよ。) 心の中で答えた。龍一がイケメンなのを自慢したくなる。 (そっかぁ。 詩音はデザイナーと結ばれればいいんだ。 お似合いだよ。派手な世界で完結してろよ。 もうこっちに来んな。)  貴也は、まだ、龍一を許せていない。龍一は執筆に集中しているらしい。貴也の所にも来ない。  あれから何の進展もないのだ。  東京でクロード・レイのコレクションが始まる。世界同時発表。世界的にも注目の集まるファッションショーは日本がスタートなのだ。  出演するモデルはシオンの他に、やはり世界的なモデル、ユーツーだった。  クロード・レイの以前の恋人だった。日本にいる。クロード・レイの日本人好きは有名だった。

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