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第95話 仕事
「仕事があるから、取り敢えず解散だ。みんなまたすぐに会えるよ。」
「貴也にエージェントを寄越すから、また,その時に。」
クロードはそう言い残して帰って行った。
迎えの車は今日はコルベットだった。
「誰の車かな?」
「クロードの新しいアマンだろ。
お盛んだな。僕たちも帰るね。クルマが迎えに来てるから。」
あのレクサスが待っていた。シオンとユーツーが乗り込む。
「貴也はどうする?
ここからは家が近いよ。一緒に帰るか?」
あの佐波一家の家に帰った。
「温泉、良かったなぁ。ヌルヌルの泉質。」
「夏油温泉と同じようだったね。」
久しぶりの本家の部屋。龍一に優しく抱かれて力が抜けてなすがままだった。
「龍一、ユーツーってどう思う?」
「物理学のロジャー五十嵐の恋人だったって?」
「すごいね、カムアウトしちゃうんだ。」
その頃ロジャー五十嵐は神がかっていた。
ノーベル賞に最も近い男、と言われていた。
「ゲイなんだ。興味深い男だな。」
「龍一と親しいの?一応同僚って言うんじゃないの?」
「私は人付き合いが苦手だからね。」
「龍一ともたくさんの思い出ができたね。」
「ああ、いろんな危機を乗り越えて。」
「まだ乗り越えてないよ。」
「貴也は根に持つタイプか?」
笑って抱きしめてくれた。
「貴也はここから仕事に通え。
おまえを離したくない。」
「また、同じ事でケンカ?」
それでも二人は愛し合っていた。
貴也は、自分の部屋とこの家と、二拠点生活になってしまった。行ったり来たり。疲れる。
クロードのエージェントから連絡が来た。
ショーの顔合わせ,だと言う。
「何のショー?」
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