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第99話 ビリヤード
貴也がポケットを始めた。バーには今時なポケット仕様のビリヤード台が置いてある。
デカいビリヤード台のために、店が狭くなっている。
ブレークショットも派手な音を立てて決まった。貴也はビリヤードが上手い。
「エイトボール。」
「そう。」
貴也と対戦するのはクロードだった。腕に覚えあり、らしかった。
「ソリッド オア ストライプ?」
「1番から7番までのローで。」
貴也はソリッドを選択した。ブレークショットでローボールを決めた。
「貴也、かっこいいな。」
「コール、ナンバー7.」
上手くかすめて7番をポケットした。
次々にコールを決めて、最後に8番の球を沈めて、貴也の一人勝ちだった。
「上手いんだな。」
「貴也はいつも1人で来て1人で黙々と練習してたもんな。」
「こんな事しか出来ないんだよ。
俺ってツマンネェ奴だろ。」
クロードは全く歯が立たない貴也にちょっと拗ねて、ジェニファーに頭を撫でられた。
「皆さん何か飲んでよ。売り上げが上がんないよ。」
マスターの千尋が笑っている。
おすすめのシングルモルトを頼んだ。アイスピックで丸氷を作るので忙しい。オンザロックの注文が多かった。
店内には渋いジャズが流れている。
「レコードだ。」
棚一面にレコードがぎっしり詰まっている。
「凄いですね。」
ユーツーたちが興味を持って聞いた。
「もう古くてボロボロですよ。」
プレーヤーには、ブルートレイン、がかかっている。
「コルトレーン。私はこの時代のものが好きですねぇ。」
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