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第100話 新作
クロードのデザインの服たちが出来て来た。
それを着て海辺を走り回る、という動画。
風をはらんで若い身体がシャツの間から覗く。
引き締まった胸。ウエストに引っかかっている緩いズボン。クロードの新作だ。黒一色。形の良い臍が覗く。セクシーな腰。
貴也の髪は黒い。染めたことがない。身体にはタトゥーもピアスもない。脱毛もしていないが体毛は薄い。身体丸ごと、生きる喜びを表しているようだ。
素肌に気持ちのいい素材の麻のシャツ。黒色を出すのが大変だった、と聞いた。
少しメークもされた。くすぐったい。
ユーツーもシオンも来ていたが、誰にも絡まず,ずっと一人で撮影された。
そしてカメラマンが一番熱心だったのは、ビリヤードのシーンだった。
どちらかの足が床についていないと失格のビリヤードで無茶な姿勢を取らされる。
「身体、固いなぁ。」
「こんな無理な姿勢でカッコいいの?」
龍一が笑っている。
「明日はラップバトルやるって。」
「ああ、楽しみだな。俺、また映るの?」
「クロードの新作ブランドのプロモーションだから、日を改めて、かな。」
「貴也、このシャツ着てて。身体に馴染むまで
普段着にして。」
モードっぽい黒いシャツをもらった。
まだ、発売してないレイブランドのものだった。
龍一と、千尋のバーでビリヤードをやっている。今日はオフだが、カメラマンが手持ちのムービーで付いてくる。
「時間外労働ですね。」
カメラマンは
「クロードが惚れ込んだ被写体に、私も興味があるんですよ。」
「俺のプライバシーはどこへ行ったんだよ。」
龍一が宥めてくれる。
キューを構えてブレークショットするときの貴也がカッコいい。
下から球を見据えて、クッションを効かせる時の貴也の目。
龍一も新たな貴也の魅力を発見したような気がしている。
「貴也さんと佐波先生は、恋人同士なのでしょう?週刊誌に嗅ぎつけられないように気を付けて,ってクロードが心配してましたよ。」
千尋の前で何だか気恥ずかしい。貴也は隠し立てするのが嫌だ。
「愛し合っているから、大丈夫。」
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