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第127話 フェス

 海に中国人の死体が上がった。港はその話で持ちきりだ。 「梁大人は裏切り者を許さない。」 「あの、コンテナに絡んだ奴らか?」  死体はあの日、倉庫にいた連中だった。 トレーラーの運転手もいた。  この港の華僑のボス、梁大人の怒りを買ったらしい。この港は単なる寄港地で、コンテナは積み替えてメキシコに運ぶはずだった。  梁大人は、中身を知って非常に困惑した。 絶対に外に出してはならぬ、と厳しく管理してそのままコンテナから出さない、はずだった。  例の中国人が、中に入っているのが販促用のすぐに使用できるお試し品だ、と言う情報を掴んだ。すぐ金になる、と盗み出した。 「フェン○ニルの毒性を知らなかったのか?」 「合成麻薬だからよくわかっていないんだ。 いろんな形で作られてるから、分量も知らずに摂取すると死に至る。」 「あの瓶に入っていたのは錠剤だった。 注射もあったが、液体もあるのか?」  梁大人は、その危険性を熟知していた。 ほとんどのコンテナの中身はフェン○ニルの前駆物質だ。精製して流通させるには、日本を経由してメキシコの麻薬工場に送るしかない。もうその道筋は出来ていた。日本は迂回ルートにされているだけだ、と思われていた。 「梁大人は、日本で中毒者を出したくはなかった。梁大人は、良心的だ。」  中国人のチンピラがそれを横から,掠め取った結果、海に浮く事になったようだ。    このフェスは、地元の有力者や政治家がいる。 M会も噛んでいる。 「俺はもう違法薬物に関わりたくない。 他にファミリーを守る方法を考えるよ。」  李たち赤ドラゴンに、フェスの招待状が届いた。港を管理する梁大人が発起人で、行政も参加してフェスを開催すると言う。バックにM会が絡んでいるのは当然だろう。  李は名簿を見て 「何が懇親会だよ。市長も名前が載ってる。 反社は絡んで無いことになってるな。」 「俺、パクられるのか?」 「李は大丈夫だよ。まだ使える兵隊だから。」 「ドラッグのクッションにされるんだろ。」  フェン○ニルの密輸を隠すために、ドラゴンのやってる事を大目に見ると言うわけだ。  何かあったら一番にスケープゴートにするために飼い殺しだろう。  港の広場で野外パーティは、この町の一大フェスを企画している。外部に宣伝する意味もある。 「和やかに、市民が交流する素晴らしい企画だ。 各界の有名人も来るよ。

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