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第128話 再会

 港主催のフェスティバルは、地元のバンドやラッパーたちにも声がかかった。  市のイメージアップのために、若者が健全に活躍する港町、と宣伝したい意図がある。この頃の密輸の噂を払拭したいのだ。  オープニングセレモニーに錚々たる顔ぶれが招待された。  政治家、著名人、芸能人。国体高飛び込みの優勝者、ケンも招待された。  モデルの仕事絡みでクロード・レイも呼ばれている。 「俺、何で呼んでもらったんだ?」 李星輝は、呉白日共々、青年実業家という括りだった。 「緊張するなぁ。ヤードで中古車集めて輸出する仕事が堅気に見えるのか?」  スーツ姿でビッと決めているかっこいい二人だった。     港広場は、行政のテコ入れできれいに整えられていて、この町の顔にもなっている。裏では違法薬物も蔓延しているが。  地元の中学校の吹奏楽部の演奏が、始まった。 ゾロゾロと来賓が入場してくる。前宣伝が派手だったからマスコミの取材も凄いことになっている。何だか気恥ずかしい感じで歩いて行った。  事前に行進の練習とかが必要な子供の時の入学式なんかを思い出した。 「あ。」 一際派手な集団が来た。クロードとそのスタッフたち。李は知らないが、貴也と龍一もいる。  その後ろからまっすぐきれいに歩いてくる男。 「ケン。」  相手は驚いたように少し立ち止まった。 「あ、の。」  李の事を覚えているか? スマートなスーツ姿のケンに見惚れた。ケンは近づいて来て握手を求めた。 「会いたかった。」  思わず本音を漏らす李星輝。どちらからともなく固い握手に想いを込める。 (ずっと待っていたのはこれだ。この瞬間。)  李は頭がクラクラした。辛い離脱を乗り越えて会える日を夢に見た。  この手を離したくない。ケンを見て優しく微笑んだ。 (ああ、この人を待っていた。 恋に落ちたあの日から。)  つぎつぎに人が入って来て来賓席を埋めていく。 (また会えるだろうか?) ザワザワと騒がしくなった。  佐波大門が若頭の柳生を従えて歩いてきた。 紋付き羽織袴の正装だ  その後ろからM会の会長代行、松田俊樹がやはり正装で若頭の大吾を従えて歩いて来た。

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