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第133話 高飛び込み
次の日、高飛び込みを見せてくれる事になった。途中でスイミングパンツを買って、海のダイブポイントがあるT岬にドライブした。
岬の上は結構な高さがある。
「ここは以前,よく来たんだ。高さがあるから飛び込むのがおもしろい。」
李は高所恐怖症だ、と言って下で待つと降りて行った。強面なのに高い所は怖いらしい。
軽くストレッチでアップしたケンが上から手を振る。布の小さなパンツ一つのケンの身体は、とても綺麗だった。
無駄なものが一切無い。真っ直ぐ伸ばした身体で飛び込むポイントの端に立つ。
周りで遊んでいた人たちがざわついた。
「あの人、選手だよ。飛び込みの。」
「有名な原田健一郎だ。」
「こんな所で見られるなんてラッキー!」
真っ直ぐ立つ姿がもう芸術だった。
両手を上に伸ばして地面を蹴った。左右に一回転ずつ,体を捻って,前に一回転。真っ直ぐ水面に吸い込まれていった。拍手が起こった。
小さい水飛沫。競技では水飛沫が小さいほど高得点が取れる。
水面に上がってきたケンのそばに、海に入って李が迎えに来た。立ち泳ぎをしながら、水の中で抱きしめてキスしてくれた。水深4メートルくらいだ。
李はケンの肩や背中の筋肉を触っている。
「凄いな、全身バネで出来てるみたいだ。
この身体を抱いたんだな、俺。」
顔を赤くして李が言った。
マッチョな李に抱きとられて甘える。
「また、今夜も泊まる?」
「ああ、しばらく連泊でもいいな。」
リゾートホテルだから長く居続ける客も多い。
「綺麗だ。筋肉の一つ一つが全部鍛え上げられている。古代ギリシャの人々はこんな身体を残したくて彫刻にしたんだろうな。」
「全部、李のものだよ。」
ただ、ただ、抱きしめる事しか出来ない。愛しさとは不思議なものだ。
昨夜、二人で未知の世界の扉を開いた。禁断の扉。李は男を抱くのには慣れている。
ケンの初めてを奪った時もそんなに気にしなかった。乱暴に突っ込んだだけだった。シャブでキメていたから。狂っていた。
昨夜、それを死ぬほど後悔した。
愛する者に酷い事は出来ない。大切に時間をかけて解した。指を入れるのも躊躇った。
愛しくて何度もくちづけした。その後孔に舌を差し込んで、気持ちよくしたい、してやりたい、と。
切なく啼き声を漏らす愛しい人。自分の高まりがケンと一つになった時、歓喜のあまりほとばしった李の精。奮える綺麗な背中にまた、精を放った。何度でも愛し合う。李の全てを飲み込んだケンに愛しさが溢れる。
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