138 / 179

第138話 仕事再開

「李、俺、今日仕事入ったから。」 「仕事?」 「うん、クロードの所。モデルの仕事。」  九十九里コレクションも終わって、好評に付き、第二弾を準備するという連絡が来た。  李のジャギュア(ジャガー)で送ってもらった。  前回はメインモデルだったが今度は別のモデルが使われる。それでも、クロードのイメージは、ケンだったから結構、重要な位置に置かれた。 「や、久しぶり。」  貴也が来ていた。貴也はモデルを引退したつもりでいる。 「モブで参加するかもしれない。」  貴也はいつも龍一と一緒だ。離れない。 そこにカッコいい車、コルベットでシオンが到着した。 「ユーツーは?」 「今、パリにいる。日本の『可愛い』をパリに紹介するって言う企画。」 「じゃ、俺帰るわ。電話して。迎えに来るよ。」  李に抱きついてキスして見送った。 「ケンの彼、すごい身体。ケンがすっぽり包まれてた。あんな身体に抱かれるのね。」 「やだなぁ、シオンは変な妄想しないでくれ。」  セクシーなカップルに二人の寝姿を想像してしまう。 「僕、欲求不満かな。 誰かに抱いてもらわないと。」  シオンに誘われて断る人はいないだろう。 危険な男。あまりにも魅力的な。  貴也は龍一を見た。不思議そうな顔をして龍一がこちらを見た。 「港の近くに私の同級生だった奴が病院をやってるんだよ。なんか面倒な案件だから手伝って欲しいって連絡が来たんだ。」  たまに大学病院に顔を出しているが、毎日ではない。龍一は時間に余裕があった。 「貴也も手伝ってくれるか?」 「うん、でも俺医学的な事は何も出来ないよ。」 「そこは精神科に特化しているんだが、場所がら、薬物中毒患者が多いんだ。  しかも外国人、中国人の船乗りが多いんだよ。」  クロードが来た。挨拶して顔合わせが始まった。シオンがジェニファー岡井に抱きついて甘えている。中身は男の、作り物のおっぱいが豊満でシオンのお気に入りだった。  小さい声で何か噂話をしている。 「シオン、気をつけなよ。 近頃、変な麻薬が出回ってるんだって。」 ジェニファーは情報通だった。

ともだちにシェアしよう!