143 / 179
第143話 何処に?
敵はどこだ?簡単な事ではないだろう。一つの場所でおとなしく固まっているわけじゃない。
「奴らは梁大人と李星輝を拉致している疑惑がある。きっと誰かがぶっ込んで来る、と身構えているはずだ。奴らの罠に嵌まるなよ。」
奴らとは?特定出来たのだろうか。赤ドラゴンは殺気立っている。
虎ニの家でも、若松が組長を止めている。
「ポントウ(日本刀)なんか持っていけませんよ。組長、落ち着いてください。」
柳生が重たい鉄箱を持って来させた。
「チャカ(拳銃)です。弾もたっぷりある。
それともウジがいいですか?
トカレフは信用できない。暴発するのでね。」
「かしら、さすが武器庫を預かるだけのことはある。」
「こんなの使ってドンパチやるつもりですか?」
穏健派の若松が言った。
元、右翼団体を率いていた若松が、一声かけて装甲車が3台,やって来た。
「若松もやるなぁ。」
「ケンカは三度の飯より好きですから。」
虎ニは若松の知らない一面を見た気がした。
惚れ惚れするいい男だ。
(ヤバい、勃ちそうだ。若松!)
「おもしれぇ。
みんな俺のために死んでくれるか?」
悲愴感が漂うのがなぜか茶番に感じられる。
こんな武器を持って戦った事などない。
「自衛隊に入って訓練しておけばよかったな。」
「実戦が出来る唯一の組織ですからね。」
「組長、防弾チョッキ着てください。」
「面倒だな。」
なんだか遠足に行く子供のようだ。
「誰か、李を取り戻してきて!
どうか、無傷で返して。」
ケンが取り乱している。
「ちょっと待って。拉致られた、と決まったわけじゃないでしょ。
何処にいるかもわかってないんだから。」
確かに、李はどこに行ったのか。情報が一人歩きしているようだ。
「梁大人は、中国から来たコンテナの秘密を暴露しようとしていなくなった。
消されたか?何も確実な証拠はない。」
そこに港湾警察の顔見知りの刑事がやって来た。
「内定が入っている。コンテナのオペレーター詰め所の隣に中国人が立派なビルを作ったでしょ。
あそこに一斉に手入れが入るんだよ。
銃器も使うかもしれん。民間人が怪我しないように、誰か閉じ込められてないか?教えてくれ。」
ドラゴンの仲間たちが立ち上がった。
ともだちにシェアしよう!

