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第143話 何処に?

 敵はどこだ?簡単な事ではないだろう。一つの場所でおとなしく固まっているわけじゃない。 「奴らは梁大人と李星輝を拉致している疑惑がある。きっと誰かがぶっ込んで来る、と身構えているはずだ。奴らの罠に嵌まるなよ。」  奴らとは?特定出来たのだろうか。赤ドラゴンは殺気立っている。  虎ニの家でも、若松が組長を止めている。 「ポントウ(日本刀)なんか持っていけませんよ。組長、落ち着いてください。」  柳生が重たい鉄箱を持って来させた。 「チャカ(拳銃)です。弾もたっぷりある。 それともウジがいいですか? トカレフは信用できない。暴発するのでね。」 「かしら、さすが武器庫を預かるだけのことはある。」 「こんなの使ってドンパチやるつもりですか?」  穏健派の若松が言った。 元、右翼団体を率いていた若松が、一声かけて装甲車が3台,やって来た。 「若松もやるなぁ。」 「ケンカは三度の飯より好きですから。」  虎ニは若松の知らない一面を見た気がした。 惚れ惚れするいい男だ。 (ヤバい、勃ちそうだ。若松!) 「おもしれぇ。 みんな俺のために死んでくれるか?」  悲愴感が漂うのがなぜか茶番に感じられる。 こんな武器を持って戦った事などない。 「自衛隊に入って訓練しておけばよかったな。」 「実戦が出来る唯一の組織ですからね。」 「組長、防弾チョッキ着てください。」 「面倒だな。」  なんだか遠足に行く子供のようだ。 「誰か、李を取り戻してきて! どうか、無傷で返して。」  ケンが取り乱している。 「ちょっと待って。拉致られた、と決まったわけじゃないでしょ。  何処にいるかもわかってないんだから。」  確かに、李はどこに行ったのか。情報が一人歩きしているようだ。 「梁大人は、中国から来たコンテナの秘密を暴露しようとしていなくなった。 消されたか?何も確実な証拠はない。」 そこに港湾警察の顔見知りの刑事がやって来た。 「内定が入っている。コンテナのオペレーター詰め所の隣に中国人が立派なビルを作ったでしょ。  あそこに一斉に手入れが入るんだよ。 銃器も使うかもしれん。民間人が怪我しないように、誰か閉じ込められてないか?教えてくれ。」  ドラゴンの仲間たちが立ち上がった。

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