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第145話 見つからない

 捜索でビルの中に梁と李は見つからなかった。 僅かに麻薬の痕跡があったが微量のため逮捕には至らなかった。フェン○ニルではなかったようだ。 「梁大人はどこ?李星輝は?」 「おかしい。密輸の証拠も見つからなかった。 奴ら他にも拠点があるのか?」 赤ドラゴンのメンバーたちは納得出来なかった。何か警察も知っていて隠してるように見える。  中国大使館から厳重な抗議が警察にあった。 外務大臣が飛んできて平謝りだったそうだ。 「おかしい。ここを仕切ってるのは梁大人のはずなのに、知らない中国人が仕切っている。  警察と仲いいじゃないか? 何で大臣は奴らの言いなりなんだ?」  虎ニたちも腑に落ちない。 「そう言えばケツモチがシカトこいてます。 あんな騒ぎがあったのに顔も出さない。」 若松も後輩たちに詰められた。 『大日本倭塾』の後輩たち。 「若松さんは本物になっちまったんですね。」  組長の計らいで倭塾の塾生全員が、一献傾ける席を用意された。昔馴染みの話に花が咲く。 「ああ、本物の極道よ。」 「若松さんはもう憂国の士ではないのですね。」 「俺たちは近頃のシナ人の異様な介入ががまんならんのですよ。」 「土地や資源を買い漁っている。移住者が増えました。メガソーラーも。環境破壊だ。」 「奴らは日本を中国の領土だ、って教育しているらしいんです。」 「日本は中国に甘いんです。」 「なにか、声を上げると,差別だって、喚き出しますし,ね。」  彼らも言いたいことが溜まっているのだろう。 若松は黙って話を聞いてやっている。  一人の若者が声を潜めて言った。 「俺は、奴ら、本当に麻薬の密輸に関わっていると思います。半グレのダチに聞いたんで。 ヤバいものがもう六本木辺りに流れてるって。」 「それ、フェン○ニルの事か? 警察で内定してるんだろ。」 「遅いんですよ。」  探している梁大人と李星輝の行方は、依然としてわからなかった。  虎ニが心配している。

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